ゼネストに揺れるギリシャ、公務員労組ら抗議で全土がまひ

欧州のソブリンリスク問題がグローバル株式市場を揺さぶっている(2010年5月4日、ギリシャ政府の財政緊縮策に反発するデモ隊)〔AFPBB News

 ギリシャ、スペインなど南欧諸国のソブリンリスク問題は、5月のグローバル株式市場に大幅な調整をもたらした。6月に入っても市場は引き続き不安定だ。6月7日の海外市場では、ユーロが対ドルで4年ぶりの安値をつけるとともに、ニューヨークのダウ工業株30種平均も2009年11月以来、7カ月ぶりの安値を記録した。せっかく和らぎ始めていた投資家のリスク回避姿勢も再び強まり、新興国通貨が売られ、円やドルが選好されている。

 こうした市場の動きを受けて、世界経済の先行きを懸念する声が日増しに高まっている。株式市場内部に明確な売り材料があるわけではないのに、株式市場が大きく下落したことが、投資家の不安心理を一段と煽っているのかもしれない。

 しかし、不透明感が強い時期だからこそ、近視眼的にならず、少し離れたところから俯瞰して現在のグローバル投資環境を整理してみることが必要だろう。

現在は回復局面の第2ステージ

 2008年9月のリーマン・ショックで痛手を負った世界経済は、各国の未曾有の景気対策に支えられ2009年3月を大底に回復のプロセスを歩み始めた。しかし、その様相は、2009年11月/12月を境にその前後で大きく異なっている。

 回復局面の第1ステージ(2009年3~11月)の特徴は、
(1) グローバル規模の経済収縮から各国そろってV字回復
(2) ドル安(ユーロ高、円高)
(3) 「景気対策」最優先の政策

 第2ステージ(2009年12月~)の特徴は、
(1) 各国ごとに回復スピードに大きな差異
(2) ドル高(ユーロ安、ドル/円は横ばい)
(3) 「出口戦略」が優先課題に

UAE市場反発、ドバイの信用不安和らぐ

ドバイ・ショックが第2ステージ入りの転機となった〔AFPBB News

 第2ステージ入りの転機となったのは、2009年11月下旬から12月上旬にかけてのドバイ・ショックやギリシャ格下げによって、ソブリンリスクが意識されるようになったことだ。金融危機後の急激な経済収縮によって、政府債務残高や対外債務比率の高い国々の深刻な状況が浮き彫りとなり、ソブリンリスクが投機資金の新たな標的として浮上した。

 ステージのシフトは市場に様々な変化をもたらした。筆者は当初、ファンダメンタルズから判断すれば、第1ステージが「多くの市場で上昇」であったのに対して、第2ステージは「選別的な緩やかな上昇」になると考えた。