アップル「iPad」、日本でも発売 千人以上が行列

発売初日にiPadを購入した男性〔AFPBB News

 米アップル社のタブレット型コンピューター「iPad」が2010年5月28日、ついに日本に上陸した。4月3日の米国発売から約2カ月で世界の販売台数は200万台を突破。日本でもブームを巻き起こしそうだ。

 アップルの携帯音楽プレーヤー「iPod」の登場で、音楽のオンライン有料配信に一挙に弾みがつき、CD中心の音楽流通は根底から覆った。アップルは、iPadの発売に合わせて書籍データの有料配信システム「iBooks」を開発、文字・画像媒体の電子流通でも主導権を握ろうとしている。電子書籍市場を狙うソニー、グーグルなどの競合も同様の構想を公表し、iPad牽制に動き始めた。

 アップルの挑戦の成否はまだ分からない。だが「画面でモノを読む」ことは、いずれ当たり前のことになるだろうし、iPadはその変革のアイコンとなる可能性がある。

技術革新の「デジタルの10年」から次の時代へ

iPodの登場で、音楽流通は根底から覆った〔AFPBB News

 変革はどこに行き着くのか。

 奇しくも、2004年に米学術機関ポインター研究所の若手メンバーが、「メディアの未来予想図」とも言えるようなショートムービー「EPIC2014」「EPIC2015」を作成している。作品の中に登場するグーグルとアマゾン・ドットコムの合併企業「グーグルゾン」こそ誕生していないが、この間、彼らの予想した通りにメディア界は変容しつつある。

グーグルゾンは荒唐無稽か?

アップル「iPad」、日本でも発売 千人以上が行列

iPad購入のため、多くの人が行列を作った〔AFPBB News

 「最良の、そして最悪の時代。2014年、人々は前世紀には考えられなかったほどの膨大な情報にアクセスできるようになる」──。

 このフレーズで始まる「EPIC2014」は、2014年までに起こり得るネットの技術革新とメディアの興亡を描きだしている。作品の中では、2008年にグーグルとアマゾンが合併。誕生した「グーグルゾン」が2010年には消費者に最適なニュース記事の編集、配信を開始。そして「(グーグルゾンに敗れた)ニューヨーク・タイムズはネット事業を取りやめ、エリート層と高齢者向けに紙媒体のみを提供するようになる」。

 更新版の「EPIC2015」ではiPodがメディア改革に影響を与える端末として進化を遂げ、現実のiPadを先取りした形となった。