4月30日、野田佳彦総理は自公政権から民主党政権に交代した後初めての正式訪米による日米首脳会談に臨んだ。そして、オバマ大統領と日米共同声明「未来に向けた共通のビジョン」を発表した。
そこでは、野田総理が「日米同盟が日本外交の基軸であるとの信念を有している」ことの前提の上、同盟関係の深化に向けた前進を自公政権時代以来、久方に共通方向であると確認されたのだ。
日米両国は、失敗したとはいえ弾道ミサイル発射を強行した北朝鮮に対する認識を共有し、連携して国際社会として確固とした対応が取られるよう働きかけること、対イラン制裁で協調していくこと、経済、エネルギー分野から文化・人的交流まで協力を進めることなどを改めて表明した。
GDP世界第1位と第3位の国家による、同盟を基軸にした共同路線の確認であり、国際社会に与えるインパクトはかなりのものだ。2009年秋の政権交代後、沖縄の普天間基地移転問題の混迷からかつてなくギクシャクした感のあった日米同盟関係が、ようやく正常な軌道に乗せられた感がある。
米国は日米同盟で利益を手に入れてきた
日米同盟は、1951年のサンフランシスコ講和条約と同時に締結された日米安全保障条約とともに発足し、既に60年以上にわたって日本の外交、安全保障路線の基軸となってきた。
もともと占領軍として日本に駐留していた米軍を同盟国軍としてそのまま駐留継続させ、我が国と周辺地域の安全保障の要とするという経過を経たこともあり、米国優位が続く安全保障条約体系であったが(その一例が日米地位協定で規定された不平等な条項である)、何度かの改定を経て可能な限り対等な政治的地位での2国間同盟という形が整えられてきた。
日本は、強力な米国の軍事力を背景に、とかく不安定であった北東アジアの安全保障関係の中、膨大な防衛予算を使うことなく太平洋戦争敗戦からの復興と経済発展に国力を傾注することができた。このことをもって「日米同盟は片務的だ」という批判もいまだに根強く聞かれる。