ロシア市場における日本製品の調子がおかしい。家電製品、自動車をはじめいろいろな商品にそういうコメントはつけられるが、恒例のProdexpoが開催された直後でもあるので、今回は和食と日本食品について、心配な現象を考えてみたい。
今年もロシア、東欧圏では最大の食品、飲料業界の国際展示会「第19回Prodexpo」が2月13日から17日までモスクワはクラスノプレスネンスカヤの見本市施設「Expocentre」で開催された。
この展示会の対象とされているのは、肉類、乳製品、乾物類、調味料、菓子類、コーヒー/茶、冷凍食品、魚類/海産物、缶詰食品、野菜/フルーツ そして酒類、となっていて、およそ食品と言われるものはすべて網羅されている。
日本より大きくなった新車販売市場
本年度の展示者数は史上最高の2500社、展示面積4万5000平方メートルというから、来場者数も間違いなく昨年の5万人を大きく超えたことだろう。毎年3月に幕張メッセで開催されるアジア最大級の食品の祭典「Foodex」は、展示者数2400社、来場者8万人規模だから、この両展示会はほぼ同規模と考えてよいかと思う。
ヨーロッパ経済の不調を尻目に、ロシア経済は原油価格の高止まり(本稿執筆時でウエスト・テキサス・インターメディエート=WTIが103ドル)のおかげでどの消費セクターにも陰りはない。
大統領選挙での混乱も予想されたが、社会はその後も落ち着いているように見える。車の販売台数を見ても、ようやくリーマン・ショックを抜けたと言われた2010年4月から、2011年12月までずっと前年比プラスを継続している。
その結果、2011年の乗用車の売り上げは前年比139%で265万台を売り切っている。ちなみに、2011年の日本の乗用車販売は、前年比81.5%で238万台だから、日本よりロシアの方が自動車市場としては大きい。
しかるに、前回の拙稿で指摘したように、2011年11月のモデル別売上を見ると、10位までに日本車はない。14位にやっと日産の「カシュカイ」が顔を出すのみである。
Prodexpoに戻ろう。我が日本の姿が見えない。
和食がロシアに根付いて10年以上になるが、特に寿司はロシア人の家庭料理にまでなって、どんなスーパーでも寿司用のコメと海苔は手に入るようになった。箸の使い方を知らない人間は今やロシア人ではない(!)、とまで言われて、フォーク、ナイフをあえて用意しない和食店まである。