今週はヤンゴンでこの原稿を書いている。昨年3月以降、ミャンマーの新政権は政治経済分野の諸改革を矢継ぎ早に発表してきた。現地では日本だけでなく、欧米からも政府・企業関係者、学者などの訪問がひっきりなしだという。

 果たしてミャンマーは中国との関係を本気で見直すのだろうか。今回は現地ミャンマーで実際に見聞きした「中国」について書いてみたい。

中国の圧倒的存在感

ヤンゴン中心部にあるお寺、シュエダゴンパゴダ

 ミャンマーと言えば、ASEAN(東南アジア諸国連合)の中でも中国に近い国という評価が一般的だろう。実際に来てみて、中国の存在感は報道などから想像していた以上に大きかった。

 今回宿泊した高級ホテルの3階には中海石油緬甸有限公司(CNOOC Myammar)という中国系企業が立派なオフィスを構えていた。

 中国がミャンマーで天然ガスを採掘し、これを巨大なパイプラインで中国雲南省まで運ぶ話は聞いていたが、それを担当する中国石油天然気(ペトロチャイナ)とは別の会社のようだな、などと思いを巡らした。

 朝食のレストランでも、欧米人や日本人に交じって中国人と思われるビジネスマンたちが朝からミャンマー側と商談する姿を頻繁に見かけた。

シュエダゴンパゴダ

 それだけではない。市場に行っても、街を歩いても、中国製商品はヤンゴン市内に文字通り氾濫していた。これと同時に、心あるミャンマーの人々が中国に対し必ずしも親近感を抱いていないことも徐々に分かってきた。

 まあ、ここまでは他の東南アジアの国々とそう大きく変わらない。

 ミャンマーが他と大きく異なるのは、中国政府との間の異様なほどの距離感だ。ミャンマーに投資する中国企業は様々な便宜を享受し、この国の資源を搾取してきたという。

 例えば、中国が供与する借款は年利4%だそうだ。つい最近まで、当地では中国人の悪口が事実上「ご法度」だったとも聞いた。

 さらに驚くのは、近年多くの中国人がいかなる手段かは不明ながらミャンマー国籍を取得し、土地を買い漁って、現在も増殖しつつあることだ。