米国と北朝鮮は2月23日と24日、北京で米朝協議を開いた。昨年12月の金総書記の死去と後継者指名後では今回が初となる。
北朝鮮、ウラン濃縮・核実験・ミサイル発射停止を発表
米朝協議に参加したデービース米政府特別代表(北朝鮮担当)は今回の会談について、「若干の前進はあった」「(6カ国協議再開に)突破口と言うにはほど遠い」などと述べ、北朝鮮の対応にそれほどの満足を感じていないような口吻だった。
しかし、29日になって、サプライズが起こった。
北朝鮮外務省は寧辺でのウラン濃縮活動、核実験、長距離ミサイル発射を一時停止し、濃縮施設を含む寧辺の核施設を監視する国際原子力機関(IAEA)要員の復帰を認めることを明らかにしたのだ。
北朝鮮の真意――改革開放に向かうのか
北朝鮮の今回の決断につながるシナリオは下記の2つが考えられる。
シナリオ1:4月15日の金日成主席生誕100周年を前に、米国からの食糧支援を取り付けた後、合意を反故にする(父金正日の常套戦術)という、一時的な戦術的アプローチ。
シナリオ2:体制存続の根幹に関わる経済立て直し――改革開放政策――に踏み出すという、抜本的な戦略変更。
本稿では、「シナリオ2」の視点から、その可能性を分析してみることとした。