日本株式のパフォーマンスはここ数年世界最悪である。

 2008年のリーマン・ショックで世界株式は6割の大暴落となったが、その後、大底から昨年の高値まで2倍へと鋭角上昇した。日本株は同様の下落幅だったのに上昇は4割にとどまった。

 さらに昨年は、ギリシャ・ユーロ危機が表面化し世界株式は2割強ほど下落した後、10%強の上昇を見せているが、日本株式は依然昨年の底値圏で推移している。

 現在の各国の株価水準をリーマン・ショック前の高値と比較すると、米国9割、ドイツ8割、日本5割という惨憺たる有様である。株価だけではない、危機の後のボトムからの生産や輸出など経済回復力でも日本は見劣りする(図表1)。

図表1 世界の相対株価(2009年3月=100、出典:ブルームバーグ、武者リサーチ)

 東日本大震災、タイの洪水等の災禍も一因だが、より大きな要因は円高とデフレの再燃であろう。

 世界経済困難=円選好との条件反射が形成され、決して日本の評価が高いからではなく世界経済の困難が高まれば高まるほど円が選好されるという奇妙な癖が国際投資家の間で定着してしまっている。