ニッケイ新聞 2012年1月6日、11日付より
さらに広がる南東伯の水害=ミナスの死者8人に
リオでも増水でダム決壊
南東伯を襲う雨の被害が甚大化し、ミナス州では非常事態宣言を出した市が、4日の内に53から66、5日には71にと急速に拡大。リオ州でもダム決壊で4千人が緊急退避など、事態はますます深刻化している。
4日付伯字紙やサイトによると、雨の被害が深刻な上、週末まで雨の予報が出ているのは、ミナス、リオ、エスピリトサントの3州。洪水や土砂崩れによる死者は、ミナス8人、リオ2人と報告されているが、行方不明者も3人はおり、今後も被害が拡大しそうだ。
現時点で被害が最も広域に及んでいるのはミナス州だ。10月の雨は、12月には過去100年で最高の降水量を記録しており、今年に入ってからも2日、3日の2日間で160ミリを記録した所もあるなど、水が引く暇(いとま)もない。
また、非常事態宣言を出した市は、4日朝の53市が同日中に66市になり、5日朝も5市増えた。5日朝10時の時点で被害が出ている市は123で、210万人以上に影響が出ている。倒壊家屋96、流された橋82、浸水や家屋倒壊で避難中の人は1万人を超え、退路を断たれて孤立している人々や、入院患者を移動させた病院なども相当数出ている。
また、ミナスに水源を発する川が流れ込み、同州に遅れること約3日で水位上昇などを見るリオ州北西部や同北部でも4日の内に6市が非常事態を宣言。サントアントニオ・デ・パドゥアやカルドーゾ・モレイラのように、町の8割が冠水しているところもある。
また、5日朝、市内を流れるパライバ・ド・スル川支流のムリアエ川のダム決壊で、4000人に避難命令が出たカンポス・ド・ゴイタカゼス市も、いつ非常事態を宣言しても不思議ではない。
同州内で浸水や家屋倒壊で避難している人は、サントアントニオ・デ・パドゥアの1万3200人など、8市で約2万5000人。ボン・ジェズス・デ・イタバポアナでも、警戒警報が出ている。
また、エスピリトサント州も、被害が生じた自治体が5日までに25。3市が非常事態を宣言し、一部破損または全壊のビルが569、1000人弱が避難を余儀なくされている。
地元に集中的に防災対策費を支出し、疑惑の渦中にあるフェルナンド・べゼーラ・コエーリョ国家統合相は、休暇を返上して4日にブラジリアに戻り、ペルナンブコ州への支出は防災事業費そのもので、自分の出身州だからという理由で支出を認めたわけではないと弁明。5日午後は、リオ州に飛び、州知事と共に被災地を視察した。
南東伯の夏は自然災害が発生し易いが、被災地への復興資金は着服などの問題も多く、被災者用の住宅建設が数年滞っている市もある。政府は5日、未消化分の昨年度予算から災害予告システム整備や軍派遣費用、防災対策、被災地支援費として4億8200万レアルの追加支出を発表した。(1月6日付)