昨(2011)年末にテレビ東京が中国の2大動画サイトの1つ「土豆網(TUDOU)」と提携し、土豆網でテレビ東京のアニメの配信が開始された。現在中国でも屈指の人気の「NARUTO-ナルト-」や「BLEACH(ブリーチ)」が配信されたことから、このニュースは中国でもそれなりに話題となった。(ニュースリリース「中国における人気アニメの即日配信7作品で実施中!

中国企業に中国企業を叩かせる戦略

子供向けのおもちゃ屋にもドラえもんはあまり見なくなった

 今世紀初めからの中国のネット黎明期以来、中国のコンテンツの海賊版事情についてウォッチしている私に言わせてもらえば、テレビ東京の「人気サイトに配信権を購入させる」という対中戦略は現状最も良い方法だと思う。

 配信権を持つ中国企業や組織が、海賊版を配信する中国サイトに訴訟することはここ数年よく見る話題であり、遡れば北京オリンピック開会式の画像を「愛国心で配信した」と言い訳した動画サイトに対しても、コンテンツホルダーである政府は厳しく対応した。

 また外国の事例では韓国のテレビ局各社が動画サイトと提携し、海賊版を配信するサイトに対し訴訟を起こしている。

 テレビ東京による今回の提携の結果、それまで手の出しようのなかった海賊版アニメについても対策が講じられるようになってきた。

 土豆網が自社の利益のため、自サイトにおける「ONE PIECE」など他社の海賊版配信を黙認しつつ今まで通りテレビ東京のアニメを配信している「優酷(YOUKU)」などの同業他サイトを叩き始めたのだ。

海賊版を見るのは日本人ばかりに?

 将来的には、正規版コンテンツが配信されている中国国内ドラマについてどんどん値段が上がっていることから、日本のアニメに関しても“政府が配信規制をかけない限り”、値段はつり上がっていくだろうと予想される。

 テレビ東京の動きに日本のテレビ局各社が追随し中国で認知度の高いアニメが正規版で配信されるようになれば、こうした傾向はさらに強まるのは間違いない。

 さらに、中国の動画サイトで海賊版を見る人は実は日本在住ないし中国在住の日本人ばかりとなる可能性がある。日本人が「海賊版だらけの中国」などと非難できない皮肉な状況になることも考えられる。

 ところで筆者自身このニュースを紹介したことがあるが、そのときには2ちゃんねるで「【親日】 中国で日本文化規制の解禁が進む 「反日はもう終わり。日本のことがもっと知りたい!」なるスレッド名が付き紹介された。