周りを海に囲まれた日本はどことも国境を接していない。このため、海外に出なければ「国境を越える」という体験は味わうことができない。
逆にロシアと国境を接する国は14カ国ある。これは中国と並んで世界で一番多い。
ロシアは世界で最も国境を接する国が多い
国境には簡単に越えられるものがあれば、命を懸けないと越えられないものもある。ロシアの国境は欧州連合(EU)同士の国境ほど簡単に越えられるものではないが、かといって以前の東西ドイツのような壁が存在し、命懸けでなければ越えられない国境というほど難しいわけでもない。
ただ、ヨーロッパの国から入るのかアジアの国から入るのかで対応が違う。筆者が体験したフィンランド‐ロシア国境越えはスムーズで短時間で終わったが、少なくともモンゴル‐ロシア国境ではそうではない。
今年2月、筆者はモンゴル‐ロシア、中国‐ロシアの国境越えを体験した。今まで何度かしてきたことだが、旅をすることで加わった新しい知見もある。
今回はそんな体験を交えながら、モンゴルとロシアとの国境越えのお話をしたい。
モンゴルとロシアの国境線は総延長3441キロメートル。しかし、ロシア、モンゴル国籍以外の人が越えられる国境は鉄道の通るスフバートル=ナウシキだけであったが、近年、アルタンブラグ=キャフタ間の国境が整備され、バスや車両で国境を越えることが可能になった(4カ所あるという指摘もあるが、確実に越えられるというわけではないようなので2つとしておく)。
ロシアとモンゴルの国境を鈍行で越える
筆者がモンゴルとロシアの国境を初めて越えたのは1995年のことで、特にモンゴルビザが取得しやすくなった2000年以降、頻繁に利用している。
北京からのモスクワ行きの列車のほか、ウランバートルからモスクワ、ウランバートルからイルクーツクの列車が存在する。特にイルクーツク行きは毎日運行している。
北京、ウランバートルからのモスクワ行きの国際列車は国境でそれほど待たされずに済むのだが、イルクーツク行きはひどく待たされる。そういう経験もあってここ5年ほど、イルクーツク行きには乗らずに済ませていたのだが、時間の都合でついに今回、久々にこの列車で行くことになってしまった。
便名は263(ウランバートル発イルクーツク行)と264(イルクーツク発ウランバートル行)、モスクワ行きの国際列車が1桁台で特急扱いであるのに対し、この列車は3桁で鈍行である。