APECの加盟国首脳が揃って、アオザイファッション-ベトナム

ベトナムの民族衣装をまとったAPECの首脳たち(ハノイで)〔AFPBB News

 先週末の11月4~5日、ベトナムのハノイで興味深いワークショップに出席してきた。「南シナ海:地域安全保障と発展のための協力」と題されたこの国際会議は今年で3回目となる。

 2年前からいつかは参加したいと考えていた。今回各方面からのご支援でベトナム行きが実現し、出席が叶ったことはまことに幸運だった。

 ハノイ訪問は2006年11月の安倍晋三首相(当時)外遊に同行して以来だ。5年前は街中を歩いてハノイ民衆の生活を肌で感じたり、国際セミナーに参加することなど不可能だった。

 今回はベトナムで開かれた会合での議論を通じて、東南アジアにおける中国の存在感(威圧感)の強さについて考えたい。

孤立する中国

 今回のワークショップを主催したのはベトナム外交学院とベトナム弁護士協会だが、実質的主催者はベトナム政府に違いない。

 中国を含む世界23カ国から62人の学者、専門家が参加し、ベトナムからも政府関係者を含む100人以上が出席したのだが、この会合の影の主役(悪役?)はもちろん中国だった。

 プログラムを見る限り、南シナ海における島嶼領有権問題の最新状況とその法的側面に関する議論が中心だったが、驚いたのは出席者の発言内容だ。

 中国人を除くほとんどの発言者が、南シナ海における最近の中国の行動を陰に陽に批判しつつ、南沙諸島などの領有権に関する中国の主張を論破していた。

 外務省を退職して6年間、内外で様々なセミナーや会議に出席する機会があったが、これほど厳しく中国が公の場で批判され、孤立した国際会議など見たことがない。

 議論が始まって最初の2時間で確信した。このワークショップはベトナムが仕かけた中国批判のための一大「ショータイム」だったのだ。