さて、フランス、イタリアの姉妹都市、旅の話の続きである。セーヌの源流を持つ「ソース・セーヌ」村と、テベレ川の源流のある「ヴェルゲレット」村。2つの村は、ともにその国の首都を流れる河の源流つながりということで姉妹都市の縁が結ばれたということは昨日書いた

村人の家に宿泊してお互いの友好を深める

ローマを流れるテベレ川の源流があるヴェルゲレット村

 2001年からほぼ毎年続けられている両村間の交換訪問は、今年はソース・セーヌ村がイタリアを訪ねる順番に当たっている。

 過去のイタリアを訪ねた旅のスケジュールはどんなものだったかと言うと、首都ローマまで足を延ばして観光をしたこともあれば、アッシジや、アドリア海側の港町を訪れたりもしている。

 こうした村外の訪問であっても、イタリアでの一切の旅程は、ホスト役であるヴェルゲレット村の企画とオーガナイズによるものだ。

ある年には、村から50キロほどのところに位置する独立国、サンマリノを訪れ、それこそ国の首相級に当たる人物からの歓迎を受けたというから、旅には少なからず “公式” という意味合いがある。

 さて今回、大雪に阻まれつつようやく到着した翌日には、フィレンツェ観光というお楽しみが待っていた。

 まだすっかり明けきらない朝、ヴェルゲレット村のミニバス、ディジョンから借りてきたミニバス、さらに乗用車に分乗してホテルを出発する。ちなみに、ホテルに宿泊するというのは異例のことで、通常なら、村人たちはヴェルゲレットの村人の家やペンションなど、より地元の人々との密接なコンタクトが期待できるところに泊まるらしい。

2時間のドライブ中、休みなく話し続けたイタリア人

昼も夜も、本当によく食べた・・・

 ところが、そうなると、10ほどの集落からなる村のあちらこちらに、フランスからの訪問者の宿泊先が点々とすることになってしまう。

 そこで、今回のように雪で道が悪い場合には大変な不便が想像されるため、村長さんの一存で急遽、役場の目の前のホテルが今回の宿ということになった。

 そう。人口52人のソース・セーヌ村とは違って、ヴェルゲレット村にはホテルがあった。

 そのホテルを出発したミニバスを運転するのは、昨夜と同じピエランジェロ。この男性は、いわば役場職員的な立場の人で、この車で児童らの送迎をしたり、様々な用をこなすのが仕事らしい。

 積雪だろうが凍結していようが、山道の運転などそれは手慣れたもの。助手席にはこの日フィレンツェに同行することになった通訳役のロザンナさんがいたのだが、彼女の顔を直視しつつ大声で話をしながらハンドルを切っている。

 私などは前日の疲れと早朝出発の分を取り戻そうと、時折、眼を閉じたりするのだが、前に座ったこの2人は、2時間ほどの旅程を実に一瞬の隙もないほどしゃべり通し。