10月26~29日、毎年恒例のインターネットビジネス展示会「ロシア・インターネット・ウイーク(Russia Internet Week)」がモスクワ市内で開催された。筆者も会場をのぞいてみたが、例年と変わらない熱心な業界関係者たちによるセミナーとディスカッションが繰り広げられていた。
老舗ネットショップが1億ドルの資金調達
何より印象的だったのは、会場に隣接するモスクワ・シティで建設中の高層ビルに掲げられたスティーブ・ジョブズに捧げられた巨大な追悼メッセージであろうか。
彼のスタンフォード大学卒業式での有名なスピーチの一節である。「偉大な仕事を成し遂げる唯一の方法は、 その仕事を愛することである」
誰が掲げたものかは知らないが、サイズだけなら世界一かもしれない。ロシア人がスティーブ・ジョブズのこの言葉をどのように理解しているかは知る由もないのだが。
さて、ロシアのインターネット業界の今秋の話題の1つは国内老舗インターネットショッピングサイト「オゾン(OZON)」が9月初に1億ドルの資金調達に成功したことである。
この金額はロシアのインターネット業界における最高の投資額であるばかりでなく、投資家の中には我が国の「楽天」も含まれていたので、なおさらロシア人の興味を引いたようである。
楽天も出資したロシア版アマゾン
オゾンは1998年にロシア版「アマゾン(Amazon.com)」として設立された。当初は書籍とCD・DVDを中心に扱っていたのだが、米アマゾン同様、取扱品目を広く拡大し現在に至っている。
同社の2010年の売り上げは45億ルーブル(約120億円)、今回のディールの詳細は楽天の投資額も含めて明らかにされていないのだが、興味の中心である同社の時価総額について、現地の証券会社フィナム(FINAM)は4億ドルと推計している。
同社の損益はいまだに赤字と見られていることから、このバリュエーションは悪くない数字である。
ロシアのインターネットショッピング市場はそれほど有望な市場なのだろうか?