25日のNY市場は、ユーロや資源国通貨が伸び悩む展開となった。明日のEU首脳会談を前に、ここ数日高まっていた期待感が後退している。NY株価も大きく下落する中、ユーロドルは一時1.38台に下落し、ドル円も75.75付近まで値を落とし、戦後最安値を更新する場面も見られた。
要因としては3点。EU首脳会談の草案にECBが実施している国債購入を更に継続するよう促す文言を盛り込もうとしたが、メルケル独首相が反対の意向を示したこと。更にEU首脳会談の前に開催が予定されていたユーロ圏財務相会合が中止になったこと。そして、首脳会談で具体的な数値を明言しない可能性が指摘されたことなどがある。
特に最後の数値については、EFSFレバレッジ計画は保証付与とSPIV(特別目的投資機関)もしくはその併用を承認するものの、規模に関する具体的な数値の明言は無く、市場の期待に十分答えられない可能性がEU当局筋から出ていた。最終的な数値が決定しておらず、もう少し詳細の検証が必要としている。また、ギリシャ債のヘアカットについても、レンジ(50%~60%想定)は示されるものの、はっきりした数値は示さない。あくまで民間保有者とギリシャ政府間の問題であり、ユーロ各国が強制できるものではないとしている。ただ、2020年のギリシャの財政赤字の対GDP比率の目標を設定することによって、推奨はされるという形。そのため、銀行の資本強化についても、必要な金額がいくらなのかは示されないという。
ただ、その割にはユーロは比較的しっかりの印象。SPIVに関してIMFも参加検討との観測も出ており、SPIVに出資する投資家の見込み需要もはっきりしない中、その辺を詰めてから具体的な詳細に明言するというのは許容出来ない話ではない。
なお、メルケル首相の反対については、過敏に反応した面もあったように思われる。中央銀行に対する政治の不介入という原則に照らせば、首相の反対は道理にかなった主張とも言える。
ただ、あくまで憶測の範囲で、首脳会談が終わってみないと判らない状況ではある。
◆カナダが急落 3重の逆風
NY時間に入ってカナダの急落が目立った。原油や金はきょうも強い動きをしていたものの、カナダの反応は無く、3重の逆風に見舞われた感もあ
る。
政策金利発表後のカナダ中銀声明が、ハト派色が強かったこと。明日のユーロ圏首脳会談に対する楽観的な見方が若干後退していたこと。そして、ロンドン時間に一時、対ドルでパリティ(1.00)に達しており、達成感が出たことが、何よりも大きいかった可能性もある。
ドルカナダは、1.00付近から一時1.02台まで一気に200ポイン超上昇、ままた、カナダ円も76円台から一時74.50付近まで150ポイント急落した。
(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)