あまり日本では報道されていないが、日本文化をロシアに紹介する、という大目標に沿って、モスクワ、サンクトぺテルブルクの日本大使館、総領事館が中心となり「日本の春」「日本の秋」という文化紹介プログラムが期間限定で毎年実施されている。
アニメ、コミックのほかロボットも人気
生け花、茶道といった日本文化の言わばフロントページの紹介からスタートしたこのフェスティバルも、最近ではコミック、アニメといったサブカルチャー的なもの、あるいは日本食など日常生活に密接に結びついた日本文化の紹介へと、ロシアにおける日本への関心が深化するに応じて、取り上げる分野も大きく変化してきている。
11月中旬には、日露青年交流の一環として、NHK大学ロボコン優勝経験校から学生13人がロボット持参で訪露、モスクワ大学を会場にロシア側参加者とロボットを通しての交流を行った。
ロシアテレビもこの交流をニュースで取り上げ、ロシア人学生に「日本の学生は幸せだ、どんなセンサーでも町で容易に手に入るそうだ」と言わせていた。まさにロシアのもの作りにおける最大の問題を端的に表現している言葉だが、こういう交流によって、ロシアの問題点が逆に明らかになる、というメリットもありそうだ。
上記のような、いわば官製文化紹介活動に対して、商業的な意味合いの濃い民間による日本文化紹介イベントも少しずつではあるが、登場してきている。
日本のバーテンダーがロシアで人気呼ぶ
ほぼ、毎年のようにロシア公演を実施するまでになった和太鼓の演奏会など、音楽系のイベントが多い中、11月23~24日には、銀座のカクテルバー「ハイファイブ」の店主、上野秀嗣氏によるカクテルセミナーという、ちょっと変わったイベントがあった。
上野氏の訪露の背景には、その前段階となるモスクワのカクテルバーチェーンのオーナー、ドミトリー・ソコロフ氏の日本訪問があった。
今年30歳を迎えたばかりのソコロフ氏は、モスクワという街にカクテルを持ち込んだ、いわばパイオニアである。
旧ソ連時代、ウオッカをストレートで飲むことが、飲酒のほぼすべてというこの国において、100%海外からの輸入品であるリキュール類をミックスして作るカクテルという飲み物は、まさに異質の文化の象徴であった。