いつ頃からか欧州に蔓延(?)するようになった「醤油」というポイントからのお話、少し踏み込んでみると、実は結構いろいろな奥行きがあることに気づかされるのです。

 例えば、世界各国のスーパーマーケットで普通に見られるようになった「インスタントラーメン」が、なかなか面白い観点を提供してくれるように思います。

日本が生んだ世界のインスタント麺

 世界で初めてインスタントラーメンを創り出したのが日本人である、というのは、比較的よく知られた話かもしれません。

 日清食品の創業者、安藤百福氏が油で揚げた味付け麺にお湯を注いで調理する「チキンラーメン」を開発したのは1958年、これが世界発の「即席麺食品」ということですので、インスタントラーメンの歴史は53年、半世紀とちょっとを迎えたところということになります。

 1950~60年代、インスタントラーメンはもっぱら日本で生産、消費される食品として成長しますが、70~80年代以降、アジア各国で同様の即席麺が作られるようになった頃から、にわかにグローバルに普及し始めたようです。

 しかし、インスタントラーメンが大きく世界に足を伸ばすにあたっては、もう1つのイノベーション、即席麺の中興の祖と言うべき商品開発が役割を演じたようです。カップめんの登場です。

世界を変えた?カップヌードル

 カップにお湯を注ぐだけで麺食品ができる、という即席麺もまた日本、しかもチキンラーメンと同様、日清食品が世界で最初に開発したものでした。

 1971年に発売された「カップヌードル」です。

 カップヌードルが世の中に出回り始めた時期、私は小学生でしたが、鮮明に記憶に残っています。見慣れない、発泡スチロール製のでこぼこした容器が妙に新鮮でした。

 俗説かもしれませんが、ちょうどこの直後に起きた「あさま山荘事件」で、配備された機動隊員たちがこれを食べている風景がテレビでオンエアされ、それで普及したという話が有名です。