性急な出口政策の咎(とが)めで、世界同時株安が再現した。リーマン・ショック以降の株価上昇トレンドが崩れている。政治の不手際により市場心理が急激に悪化し、ようやく復活しつつあったリスクテイクの動きが止まってしまった。

 これは1937年不況再現の悪夢を呼び起こさせる。1929年世界大恐慌で、1932年にNYダウは380ドルから42ドルへと89%暴落し、1937年3月にはボトム比4倍強の186ドルまで上昇した。しかし、性急な財政緊縮と金融引き締めによって、1938年3月には99ドルと1年間で約半分の大暴落となり、米国経済は再度不況に戻ってしまった。

 需要不足が解消されない中での性急な出口政策が市場心理を冷え込ませたという点で、1937年と現在は事情が酷似する。

政策変更で危機の封じ込めは可能

 株価のさらなる下落とリセッションの再現により、政策変更が余儀なくされるというシナリオを想定する局面に入った。もっとも政策の不手際はまだ1937年と比べてもわずかであり、修正が可能なことに加えて、当時の経験を熟知しているバーナンキ氏が世界金融の司令塔にいることに救いがある。

 株価急落が世界的財政削減論議の棚上げと協調金融緩和を実現できれば、株価と経済は急落から急反発へと転換するであろう。

 政策の大失敗が是正できなかった1937年ですら、NYダウは大底の90ドルから9カ月間で60%暴騰している。

 1937年経済に致命的となった財政緊縮は、1937~38年の2年間で歳出が20%減少するという極端なものであった(財政支出は36年が84億ドル、37年が77億ドル、38年が68億ドル)。

 当時の財政当局を支配していた保守的自由主義者の要求は現在のティーパーティーと類似している。

 翻って今回の財政削減合意は、10年間で2.4兆ドル、年間2400億ドルであり、それは年間歳出規模の約10%と無視できない規模である。ただ、2400億ドルのうち確定分は年間900億ドルであり、残りは今後の議会での協議次第で変更の余地がある。また、金融政策は緩和姿勢が維持されている。

 欧州危機の封じ込め等の国際協調とQE3などの歴史に学ぶ政策展開により、危機の封じ込めは可能であろう。