ご存じの方も多いと思いますが、九州電力玄海原子力発電所の再稼働問題が意外な展開を見せてきました。

 九州電力の副社長、原子力発電本部長、佐賀支店長らと佐賀県知事との会談内容のメモ(メモは佐賀支店長の手によるもの)が明らかとなり、やらせメールは佐賀県知事が誘導したという疑いが出てきました。さらには、佐賀県の自民党県会議員の応援者に対して九電から働きかけるように知事が頼んだ疑いや、知事が知るはずもない国主催の説明会の市民代表の構成まで知っていたとの疑いが強くなってきています。

 会談内容のメモは、九電の第三者委員会の正式発表を待たずに、8月6日に朝日新聞がすっぱ抜きました(メモを入手したのは朝日新聞出版の雑誌「アエラ」)。

 私のように政治や行政の裏を見たことがある人間は、なぜ、このタイミングでマスコミ、特に朝日新聞系に情報が流れたのだろうかということを考えてしまいます。どうやら土曜日や日曜日は記事が少ないので、より大きく報道されるということを知っている人が流したようです。

メモの内容はなぜこのタイミングで「アエラ」に流れたのか

 いくつか考えられるのは、第1に、知事の責任がさらに問われかねないメモを公表する動きが抑え込まれそうだったので、第三者委員会側から流した可能性です。当初の予定では、9月下旬に第三者委員会の調査報告書がまとめられる予定でした。

 ただ、郷原信郎委員長はみずからのメールマガジンでそもそもメモの存在を明らかにしていますし、もともとそのような圧力に屈する人ではないですからその可能性は低いと思います。(九電の第三者委員会の名簿はこちら)

 第2は、九電の責任を少しでも軽くするために早めにリークした可能性です。他にも、九電ばかり攻められるのが腹に据えかねた社員の誰かがリークしたという可能性もないわけではありません。

 反原発の立場が強い朝日新聞系に流れたということは、脱原発の動きを強めたい官邸の意向が入っている可能性も否定できません。