3日のNY市場、世界的な景気減速への懸念から、市場全体にリスク回避的な雰囲気が強まった。原油は5%超、ダウ平均も500ドル超急落する中で、為替市場はユーロやポンド、資源国通貨が売られ、スイスや円が買われる展開となっている。この日発表になった米雇用指標で失業保険継続受給者数が増加していたことや、ECB理事会後のトリシェ総裁の会見で、景気の下振れリスクが指摘されていたことも嫌気した面も。明日の米雇用統計発表を前に、エクスポージャーを縮小し、現金化の動きが加速したようだ。
ユーロ円はECBが6ヵ月物の流動性供給を再開したことや、国債購入プログラムの再開を示唆したこなどもあり、ユーロ自体の売りと円買いの二重の逆風で、一時111円台前半まで下落。介入により114円台まで上昇していたが、その上げの80%超を失っている。市場ではECBがアイルランドとポルトガル国債をトリシェ総裁の会見時に並行して購入していたとの観測も出ていた。
また、資源国通貨の売りが特に激しく、豪ドル円は介入前の水準を下回る場面も見られた。一方、ドル円は伸び悩んだものの、相対的なドル買いの動きがサポートし79円台に踏み留まっている。
◆欧米は介入に苦言
政府・日銀が実施した介入について、欧米での反応が鈍い。米当局者は米国は日本の為替介入を支持しなかったと述べた他、トリシェ総裁も、他中銀については言及しないとしつつも、介入は多国間の決定に基づいてなされなければならないと苦言を呈している。野田財務相も言明し予想通りではあるが、単独介入だったことが再確認されたことも、円相場を圧迫した面があったかもしれない。
(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)