5日の東京市場は、ドル買いが優勢だった。ドル円は81円台乗せ、ユーロドルは1.45割れ水準へとドル買いが進んだ。ポンドドルも1.60台前半へと軟化している。ただ、理由付けは様々となっていた。ドル円は80.85-90レベルを上抜けると81.11レベルまで上昇、ストップ注文を巻き込む動きが観測された。宮城県知事への発言が問題となった松本復興相はスピード辞任となり話題になったが相場への影響は不透明だった。ユーロドルは朝方1.4550近辺へと上昇する場面もあったが、1.4510レベルを割り込んだ辺りから下げが加速、1.4470近辺まで下落した。ドイツで、ギリシャなどへの支援が欧州連合の非支援条項に違反するとの見解が示されたと報じられている。また、ドル買い全般には米国の本国投資法に関する思惑が広がっていた。米企業の本国送金の動きが強まるとドル買い需要となるとの見方。また、中国のインフレ加速、利上げ懸念報道もあったが、現状ではどれも決定打となるような材料ではなく、ファンドなどによるドル買いが市場のストップを誘発したようだ。
◆豪ドル軟調、豪中銀声明で利上げ見通しの言及みられず
この日は豪ドルが軟調に推移している。東京午前に発表された5月の豪貿易収支は23.33億豪ドルの黒字と予想や前回を上回ったが、豪ドル買い反応はほとんどみられなかった。市場では中国のインフレ加速、利上げ観測などが報じられたことで豪ドルにはネガティブなムードが広がっていた。豪中銀理事会では予想通り政策金利が据え置かれた。注目の声明では、今後の利上げについては言及されず、豪ドル売りを誘った。さらに、欧州債務危機への懸念が増している、世界経済は引き続き拡大もペースは鈍化、など慎重な表現が多かった。豪経済についても、2011年の成長は予想ほど強くならないだろう、豪ドル高が顕著な抑制効果、過去数ヶ月間、雇用の成長が減速、とトーンダウンする内容となっていた。豪ドル/ドルは1.07台半ばから1.06台後半へ、豪ドル円は86円台後半から一時86円台前半へと水準を下げた。NZドルやユーロなどその他主要通貨でも豪ドルは軟調に推移している。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)