2009年7月5日の静岡県知事選は、民主党など野党推薦候補が自民、公明両党の推薦候補を破り、初当選した。接戦となったが、麻生太郎首相と自民党に勝利の女神は微笑まなかった。7月12日の東京都議選に麻生の命運が懸かるが、奇跡でも起こらない限り、自民党は現有議席を維持できないだろう。都議会第1党を民主党に譲り、与党が過半数を割れば、麻生退陣は不可避の流れとなるのか。(敬称略)

内閣支持率が続落、19.7%

静岡県知事選も落とした麻生政権(参考写真)〔AFPBB News

 本来、地方選挙が国政に大きな影響を与えることはない。だが、今回の静岡県知事選は別だ。7月12日投開票の都議選とともに、与野党候補が全面対決する同知事選は、次期衆院選の前哨戦と位置付けられていた。

 自民党のある幹部は「勝っても負けても、あくまで地方選挙だ。衆院選に影響はない」と強弁していたが、今やその声は空しく響くだけ。勝った方が次の都議選、衆院選に勢いを得て弾みをつけられる。それが、今回の静岡県知事選だった。

民主分裂、「必ず勝てる選挙」落とした自民

 民主党は候補者の一本化調整ができず、事実上の分裂選挙となった。一方、与党側は「必ず勝てる選挙」(自民選対幹部)と自信を示していた。それだけに、麻生政権や与党側に与えた打撃は大きい。

 「結果は厳粛に受け止める。残念の一言。本当にもう残念、無念の気持ちだ」。代表取材に答えた自民党選対委員長の古賀誠は、ショックを隠せなかった。

 しかし選対副委員長の菅義偉は、強気の姿勢を崩さなかった。「静岡県民の判断で、内閣に対しての信認とは関係ない。政権運営に支障を来すことはない」と強調。都議選への影響に関しても、「東京と静岡は全く違うから影響はない」と言い切った。

 多くの自民党幹部も、衆院選への影響を表向きは否定する。しかし実際には、「衆院選は8月30日以降に先送りするしかない」との見方が強まっている。もはや麻生が主導して、都議選直後に解散に踏み切れる状況ではない。

 静岡県知事選での自民党の敗因は、麻生・自民党政権に対する有権者の不信以外の何物でもない。名古屋、さいたま、千葉の各政令市長選に続き、自民党推薦候補が重要地方選挙で4連敗となった。

東国原担ぎ出しも、静岡県知事選の敗因か

 なぜ、自民党推薦候補は負けたのか。いや、自民党が推薦したからだとでも言いたくもなる。いくら候補者が「自民党色」を薄め、「県民党」を掲げても、有権者には麻生や自民党の影がちらついていた。中央での「自民逆風」が、静岡でも吹き荒れたのである。

 与野党からは敗因の1つに、先の閣僚・自民党役員人事をめぐるドタバタぶりが指摘されている。公明党幹部が「人事のゴタゴタさえなければ静岡県知事選は勝てた」と漏らしたほどだ。有権者は「麻生・自民党」に愛想をつかしているのだ。

東国原知事擁立、自民には裏目?

 「自民党が宮崎県知事の東国原英夫を衆院選で担ごうとしたからだ」(自民党若手)との声もある。東国原にラブコールを送る自民党幹部の姿に、「落ちも落ちたり自民党」と評した野党幹部がいたが、同じ思いを抱いた有権者は少なくないだろう。

 お笑い出身の知事の人気に少しでもあやかろうという、自民党執行部の動きを見て、「この政党はもう終わった」と感じたのは筆者ばかりではあるまい。

 東国原について言えば、彼の国政を目指す気持ちはどうも本気だったようである。しかし今、任期途中で宮崎県知事を辞めて、自民党の比例代表の上位候補となって当選しても、「党総裁」になるという野望を満足させることはできないだろう。