米連邦公開市場委員会(FOMC)が24日に発表した声明文は、長期国債購入の期限延長や「時間軸」の強化といった政策調整を一切行わなかった上に、前回4月声明文では明記されていた「デフレ警戒」を示す文言を削除するなど、明らかに従来よりもタカ派に傾斜した内容になった。

 米債券市場は失望売りが強まる展開で、2年債利回りは一時1.21%まで上昇。10年債利回りは4日ぶりに上昇して一時3.70%をつけた。ただし、5年物国債入札が非常に好調な結果だったため、金利上昇余地は限られた。米国株は指数によりまちまちの展開で、ニューヨークダウ工業株30種平均が4日続落となる一方、ナスダック総合株価指数は反発、ウィルシャー5000指数は続伸。為替市場ではドルが買われた。

 今回の声明文について、前回4月29日声明文と比較して、タカ派に傾斜した部分と、ハト派に傾斜した主な部分を整理すると、以下のようになる。

【タカ派に傾斜した部分】

(1)景気認識の上方修正
◆「4月FOMC以降に入手された情報は、経済収縮のペースが減速していることを示唆している(Information received since the Federal Open Market Committee met in April suggests that the pace of economic contraction is slowing.)」
~ 前回4月声明文では、「3月FOMC以降に入手された情報は、経済が縮小を続けたことを示した。ただし縮小のペースはいくぶん減速したように見える」となっていた。

◆「企業は設備投資、雇用人員を削減しているが、売り上げに対して在庫をよりバランスの取れた水準にする動きが進んでいるように見える(Businesses are cutting back on fixed investment and staffing but appear to be making progress in bringing inventory stocks into better alignment with sales.)」
~ 前回4月声明文では、「企業が在庫投資、設備投資、雇用人員を削減」となっていた。今回は、在庫調整の進捗を明記した。

(2)金融情勢認識の上方修正
◆「金融市場の状況はここ数カ月、総じて改善した(Conditions in financial markets have generally improved in recent months.)」
~ 前回4月声明文では、「金融市場環境のいくらかの緩和(some easing of financial market conditions)」と書かれていた。

(3)物価認識の上方修正
◆「エネルギーやその他の商品価格が最近上昇した(The prices of energy and other
commodities have risen of late.)」
~ 前回4月声明文にはなかった原油など資源価格の反発を明記。

◆「そして、インフレ率はしばらくの間、沈静した状態が続くものと、FOMCは予想している(and the Committee expects that inflation will remain subdued for some time.)」
~ 前回4月声明文では、「しばらくの間(for some time)」という表現は見当たらなかった。インフレリスクは小さいという認識を、FOMCは基本的には表明しているものの、そうした状態には時限性があることをわざわざ記入してきた点は、4月よりもタカ派に傾斜したものと受け止めざるを得ない。

(4)デフレ警戒を表明していた部分の完全削除
◆前回4月声明文に書かれていた「さらに、インフレ率がしばらくの間、経済成長と長期的な物価安定を最も支援する水準を下回り続けるリスクがいくらかあることを、FOMCは認識している(Moreover, the Committee sees some risk that inflation could persist for a time below rates that best foster economic growth and price stability in the longer term.)」という文章が、今回の声明文では完全に削除された。