3代目「ワンダー・シビック」のイメージリーダーともなった低いシルエット、ロングルーフの3ドア・ハッチバック。今日に至る日本、欧州のシビックの商品イメージを作ったモデルでもある。(写真:ホンダ、以下同)
キャビンをスクエアに、上に広げて様々な使い方ができる空間を生み出す、という発想を形にしたシビック・シャトル。今日では乗用車の1ジャンルとして定着したが、4半世紀前の量産小型車としてはかなり斬新な存在だった。
シビック3ドア(3代目)とエンジンベイ~前席まではほぼ共通にしながら、より低く、後席を必要最小限まで切り詰めて、運動性指向を強め、スポーティパーソナルカーに仕立てた初代「CR-X」。MM思想を標榜したパッケージング思想が伝わってくる側面レイアウト図面。
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米国で求められるパーソナルユース主体でファッション性もある実用車、というジャンルに対応した5代目シビック・クーペ。仕向け地別に製品企画を分ける、という戦略の一例であり、兄貴分のアコード・クーペとともに一時は日本にも投入されたが定着せず。
現行7代目で、プラットホームまで米国他向けモデルとはまったく別物にした、ユーロ・シビック。3ドアに見えるが後席ドアの開閉ハンドルを側面ウィンドウ後端部に隠した5ドア・モデル。高性能エンジン搭載モデル以外、この「シビック」に日本市場での可能性がないと判断したのはなぜか。
こちらは北米市場向け7代目シビックのクーペモデル。ホンダ以外の日本メーカー、特に日産自動車、トヨタ自動車は「仕向け地別製品企画」を展開しているが、日本向けは欧米、さらに途上国向けよりも「地味な」、別の表現をすれば「手が縮こまった」スタイリングばかりになっている。このUSシビック・クーペの姿形を好む層が日本にはいない、わけがない。
日本に唯一残っていたシビック。ほとんどの消費者はこのハイブリッド仕様以外、シビックというモデルの存在を知らないのに近い。つくり手側、売り手側が、何のメッセージも発信していないからだ。その「発信」は別に広告などでアピールすることだけではない。クルマそのものにつくり手のメッセージが込められていないと。