65歳以降も働き続けるか、それとも……

 預金して普通に利子が付いたのは、25年も前までの話です。あらためて確認しますが、今の時代、銀行にお金を預けても金利は付かないのです。お金を増やそうと思ったら、普通の預金では意味がないと断言できます。

 考えてみてください。国は「老後資金として2000万円は最低でも不足しますよ。貯めておいてくださいね!」と言っていますが、今の状況では、地道に毎月5万円の積立預金を30年間も続けて、それでも1800万円にしかなりません。仮に預金金利が1%の複利だとすると、税引き後の利子を足して約2030万円。そこで初めて2000万円をクリアできます。30年間ですよ。
 実際に預金金利が1%であれば、若い世代で余裕がある方なら可能?でしょうが、現実の預金金利は1%どころか、0.1%にすら遠くおよばないという惨状です。なんとも夢のない話ですね。

預金通帳を見る男性低すぎる預金金利。預金だけではお金を増やせません

 これが現実で、あとは年金がいくらもらえるかによって老後の生活は左右されます。どうですか? 生きていくためには、65歳以降も働き続けていくしかないのが現実的な選択のようにも思えてきます。本当に死ぬまで働くのでしょうか? それとも別の選択をするのか?
 ここであきらめては、老後に「お金の苦労」から逃れることは難しいでしょう。そこで次のステップとして、ひとつの提案をしたいと思います。「定期預金よりましな運用商品が欲しい」という相談者の悩みに対する、お答えのヒントが見えてくると信じています。

運用商品は「金利」ではなく「利回り」で考える

 定期預金の金利はさらに下がっています。銀行にもよりますが、今では100万円を預けても、1年後にもらえる利息が20円程度にしかならないのが普通です。そこで私が提案するのは、「金利から利回り」に発想を転換することです。

 「利回り」とは、何を意味するのでしょうか?
 利回りとは、預金金利のような元手に付く利息の割合ではなく、元手自体が増えたり減ったりした場合に、元手と利息などの合計の金額に基づいて、全体でいくらお金が増えたかを示した割合です。
 元手が増えたり減ったりするということは、元本割れすることもある。そこが、元手自体の金額が変わらない預貯金との大きな違いです。
 たとえば、株や債券などを買っていくら儲かったかを計算するときは、毎年の配当金や利息に、元手自体の価格が上がった(下がった)分を加えて計算しなければいけません。このように、元手の変動分を配当金や利子に加味して計算していくのが「利回り」と言われるものなのです。

 お金の運用を利回りで考えていくと、納得できることが多々あります。投資信託にしてもマンション投資にしても、そこで語られる「利回り」の多くは最初から確定されたものではなく、「予想および目安」として提示され、商品が販売されています。この「予想と目安」によって、自分に合ったものを選んでいけばいいのです。
 世の中にはいろいろな「投資」の話があります。たとえば、100万円の元手で、1年後に10万円儲けが出る。1年間の利回りは10%。これは今の時代、ちょっと怪しいように思います。利回りの「予想と目安」が高すぎるときは、何かあるな?と、疑ってかかるべきです。

 「定期預金よりましな運用商品」は、利回りを基準に選ぶことが大切です。ただし、元本割れを起こす可能性には注意しなければいけません。
次回は、さまざまな運用商品について、利回りによるランキングを付けながら、その活用について考えていきます。