だが今回、備えや貯蓄をしていなかった人が悪いというわけではない。なかなかそんな余裕は出来ないし、今回のことを個人の蓄えで乗り切れ、というのはマスク2枚で銃弾を防ぐぐらい無理ゲーだ。

 しかし一生働かなくて贅沢な暮らしができるほど資産があるから、一生贅沢な暮らしをするプランで金がなくなった、と言ったらさすがに「てめえは自分で何とかしろ」と言われてしまうような気もする。

 よってもし大富豪であったとしても、働いたり、もしもの時のために、備えをしておくことが大事である。

 もちろんこれは「三億円当たったらどうする?」という絵空事に「貯金かなw」と答えるのと同じだ。
 絵空事に対する答えなど、当然絵空事なので、実際三億手にしたら「貯金かなw」などという発想は消え失せ「wwwww」となり、あっという間に散財してしまう可能性もある。

 よって、絵空事を考えるにしても3億円あたったら、というポジティブなことではなく、3億円を浪費しただけでなく贅沢ぐせだけがつき、親族とも揉めたため天涯孤独になった、というようなネガティブな妄想も同時にしておくべきなのだ。

 ネガティブな妄想というのは「杞憂」と言われ、しなくても良いことのように思えるが、それがあるから人は備える気になるのだ。

 「俺は老いないし、病気にならないし、むしろ死なない」というスーパーポジティブシンキングだったら、貯金も保険もかける気にはならないだろう。
 「最悪の事態を想定」が出来なければ、リスクヘッジもできないのである。

 今回のコロナは俺たちの最悪を軽々越えてきてしまったが、やはり備えておくことで「すぐには困らない」という「猶予」ぐらいは手にすることが出来る。
 この「猶予」がないと、冷静に考えることが出来ず、すぐ「死」に走ってしまうし、何とかしようとして傷を広げてしまう可能性が高い。

 よって「大富豪だったら」という妄想をするなとは言わない。たまにはそういうことも考えなければやっていけないのも事実だ。

 だが同時に「明日食う飯代もなくなったらどうしよう」という妄想もちゃんとしておいたほうが良い。
 それを考えれば、そういう時、補助してくれる行政機関などを調べる気になるのだ。

 ちなみに3億円当たっても「全額貯金w」と言うのも実はそんなに堅実とは言えない。
 原油がマイナス価値になってしまうように、日本円が明日馬糞にならないとは言い切れないのだ。
 今は貯蓄するにも、一か所にはおかず、分散することがリスク回避につながるそうだ。

 ただ15円を5円づつ口座に分けておくのがクレバーかというとクルクルパーだろう。

 「大富豪になったらどうするか」「資産をどうわけるか」という絵空事を少しでもリアルにするため、そろそろ「真面目に考えろ」ということである。