部屋とお金と私

 「部屋とお金と私」全3回の最終回である。

 最後のテーマは「もし一生働かなくても贅沢な暮らしができるほど大富豪になったらどうするか」だ。

 確か前回は「何故自分は財閥の娘ではないのか」というそもそも論から抜け出せず、全然働く気になれないのだがどうしよう、というまさにどうしようもないテーマだったはずだが、何と未だにそこから一歩も抜け出せていない、という衝撃の事実である。
 堅実なお金のサイトがこんな寝言みたいなこと載せていいのか、と思うが、人間と言うのはこういう妄想の果てにやっと「真面目に考えよう」という出発点に立てるのかもしれない。

 一生働かなくても贅沢な暮らしが出来る大富豪になったらどうするか、と言われたらもちろん一生働かないことだけは確かだろう。

 そう言いたいところだが、既知の通り、現在世界はコロナウィルスの影響で半年前とは文字通り世界観が変わってしまった。
 ソースはツイッターなので噂程度だが、コロナの影響で原油価格が暴落し、日本人にとって永遠の金持ちの象徴であった「石油王」の資産が危ういというニュースまで流れて来た。

 それを受けて「これからは石油王が逆に闇オークションにかけられるBLが流行る」という金脈を早々に掘りだした人もいた。

 このように、才のある人は、どんなピンチの中でも素早くチャンスを見いだすのだろうが、普通の人間はそうはいかない。
 個人の努力や責任ではどうにもならぬ濁流に飲みこまれ、あっという間に生活が破綻するという現象が今実際に起こっているのだ。
 大きな企業の倒産ニュースも珍しくなくなっているが、半年前にはこんなことになるなんて誰も予想がつかなかったと思う。

 しかし、誰も予想がつかないことが起こり、石油王がヤフオク!で1円スタートしてしまうのが世の中というものなのだ。
 よって「一生働かなくても贅沢な暮らしが出来る大富豪になったら」というのも結局瞬間最高視聴率にすぎず、どんな人気番組でも次の瞬間、芸人が股間隠し芸をミスって打ち切りにならない保証はないのである。

 そうならないために、生放送には出ないとか、事前に股間を取り外しておくという、まず「問題が起こらないための備え」が必要になる。

 だがコロナのようにどうにもならないことは起こるので、その時のために「股間隠し芸1本で行きたいが、もしものために教員免許も取っておく」というような保険的備えも必要だ。