現金のリスク

 「預金なら安心」って本当なの? 「元本保証」って、実際に何を保障してくれるの? 実は、現金にもリスクが潜んでいるのです。本連載ではそんな「現金のリスク」を切り口に、お金のほんとうの価値を守るための資産運用について考えていきます。今回のテーマは「子育てが終わったけど、定年が近づいているけれど……老後資金が足りないかも?」という方の資産運用です。

 前回は「老後資金の準備は十分」という方に向け、「お金の価値を維持するため」の方法として、まとまった資金でバランスファンドに投資するというお話をしました。

 実はバランスファンドって、まだまだ奥深い(?)のです。
 なので、以後、バランスファンドの奥深さについて述べていこうか迷っていたのですが。迷ったあげく、バランスファンドの詳細ではなく、タイトルに挙げた「老後資金が足りないかも? という方の資産運用」に関して書くことにしました。バランスファンドの詳細は、後日あらためて書かせていただききます。
 ということで、本題に入ってまいります。

国からの年金だけでは、本当に不安?

 将来、受け取ることができるであろう年金額の目安は、国から定期的に届く「ねんきん定期便」などで知ることができると思います。また、日本年金機構の「ねんきんネット」では、ご自宅などで年金見込み額の試算ができるようです。
 その年金の見込み額を基に、「定年後の」生活費のシミュレーションを行ってみましょう。できれば、将来のインフレなども考慮しながら……。「難しい!」というおっしゃる方は、ぜひファイナンシャルプランナーにご相談ください♪

老後資金を準備するための余剰の資金なんて、今はない?

 老後資金を準備するための余剰の資金なんてないとおっしゃる方。

 「本当にそうでしょうか?」

 確かに、余剰資金を作るためとはいえ、「生活の質」はなるべく下げたくはないですよね。その思いは誰もが同じなはず。ですから「生活の質」を下げることなく、毎月の家計の中から余剰資金を捻出することを考えましょう。

 例えば、携帯電話のプランを変えてみる、とか。
 また、電気やガスも自由化されましたね。最近はあまり話題になりませんが。

 料金だけでなく、付与されるポイントも含めて検討ですね。もっとも、ポイントは有効期限や使途に制限があったりもしますから、ポイントを活かせるのか否かも考えなくては。
 筆者のように「う○星や○ら」の女優の笑顔につられているようじゃ、ダメですよ。

 それから毎月の家計の見直しで、今や、すっかり定番となったのが生命保険の見直し。子育てを終えたのであれば、高額な保険金の生命保険は不要なはず。
 「せめて、葬儀代くらい……」とおっしゃる方。葬儀も、特に都市圏では価格破壊が進んでいるようですよ。なので、葬儀代を目的にした生命保険が、「本当に必要なのでしょうか?」
 また、第13回の稿では「住宅ローンの見直し」の例を挙げていますので、住宅ローンを返済なさっている方は、あわせてご一読いただきたいと思います。

毎月の家計から捻出した余剰資金を、どのように活かすか?

 さて、毎月の家計の中から余剰資金を作ることができたら、その余剰資金を、間近に迫った定年に向かって活かすことを考えます。
半分は積立定期預金、半分は積立投資という具合に。

 積立投資だけにしないのは、やはり定年までの間に「やむを得ず、取り崩さざるを得ない」場合に備えるためです。

 積立投資だけにしてしまうと、相場の状況が思わしくない時に「やむを得ず、取り崩さざるを得ない」状況が重なってしまうと、金銭面だけではなく、精神的にも辛いですからね。

 さて、積立投資は、「毎月末に1万円ずつ」とか「毎月初に5千円ずつ」、投資商品を買っていくイメージです。投資商品は年代的にも、また定年まで間近だという点も踏まえると、やはりバランスファンドが良いかもしれません。

 バランスファンドは、これまでの稿でも申し上げている通り、「株式や債券など、異種な資産をワンパッケージにした」投資信託(=ファンド)です。異種な資産の組み合わせによって、価格が上下するリスクをなるべく抑えつつ、増やしていこうとするファンドです。