投資家の顔ぶれも大きく変わりました。国内のベンチャーキャピタル以外にも、リクルートやセールスフォース、LINEといった事業会社が入ってきたのです。これは最初から意図していたわけではありませんが、一定のビジネス基盤が構築できた中で、さらなる成長を目指すにあたり、事業提携を前提に資金調達を進めてきたことが大きいです。


拡大画像表示

 もう1つ特徴的だったのが、2018年8月のシリーズEでT・ロウ・プライスというパブリック投資家に入ってもらったことです。これは非常に良かったです。何故なら、IPOを視野に入れる中で、パブリック投資家の視点を経営に反映させることができたほか、その後のIPOの際に信頼感の向上にもつながるからです。

  そして最後が2019年12月のIPOです。2年前の2018年6月期の第2四半期から準備をスタートし、結果的に1日の遅れもなく上場できたのは、自社で会計freeeを活用していたことも大きいです。

 最大の特徴は、北米の投資家にも訴求できるグローバルオファリングの形態を採用したことです。先述の通り、SaaSモデルの理解レベルの高さから、理想的なIPOを実現するには、北米の投資家からも資金を募りたいと考えたからです。


拡大画像表示

 オファリングサイズは370億円(公募金額+売出金額)と、日本のIPOとしては大きな額となりましたが、その目的は成長資金の確保であり、IPO直後に公募増資する必要がないよう、今後2~3年の資金ニーズを充足したためです。また、海外の機関投資家の需要を喚起するには十分な流動性も必要でした。

 海外投資家の比率を高めたことも大きな特徴です。結果的に経営陣、ベンチャーキャピタル、事業会社、海外機関投資家、国内機関投資家、一般投資家などでバランスの取れた株主構成になったと評価しています。


拡大画像表示

 IR(投資家向け広報)にあたっては、エクイティストーリーの構築に注力しました。「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションとして、「日本で唯一のスモールビジネス向けクラウドERP」を展開。市場機会は大きく、成長性も高い。それをどのような戦略で勝ち取っていくのかを説得力をもって伝えられるかどうかがIPOの成否を握るといっても過言ではありません。

 アーリーステージ、レイターステージ、IPOというそれぞれの成長ステージに合わせた財務戦略があることを最後に強調しておきます。


拡大画像表示

 激動するビジネスシーンにおいて、中堅・中小企業が変革を成し遂げ、持続的な成長を実現するには、攻めの財務戦略と守りの経営基盤をしっかり併せ持つことが重要である。これこそが、イベント「freee Growth.Vision 2020 ~経営革新と成長はここから始まる。~」で訴えたかったメインテーマである。変革の担い手である経営者・経営幹部の方々は、テクノロジーを活用して、「本質を捉えた価値提供」「人が集まる組織作り」「人の力の最大化」「生産性の可視化」に果敢にチャレンジしていってほしい。

●会社を伸ばす 攻めのバックオフィス クラウド ERP freee
>>詳細はコチラ

●給与計算や勤怠管理、労務管理までを簡単に 人事労務freee
>>詳細はコチラ

<PR>