10年間で2倍に増やす条件は年利7.18%
投資はお金を増やすために行うものであり、どれだけ増やしたいのかという具体的な目標を立てることが大切です。
たとえば、「手持ちのお金を10年後に1000万円まで増やしたい」という目標を立てたとしましょう。この目標を実現するためには、2つのことを確認する必要があります。ひとつは、どれだけのお金を投資に回せるのか。もうひとつは、そのお金を使って、どれくらいの運用利回りで目標を達成できるかです。
もし投資できるお金が500万円の場合、元本を2倍に増やさなければいけません。700万円なら、1.43倍で1000万円に到達します。
元本を2倍に増やすためには、どれくらいの利回りで運用すればいいのでしょうか?
10年間で元本を○倍に増やすために必要な運用利回りは、以下の通りです。
増やしたい 倍率 |
非課税の場合 | 課税の場合(※) |
---|---|---|
1.1 | 0.96% | 1.19% |
1.2 | 1.84% | 2.26% |
1.3 | 2.66% | 3.24% |
1.4 | 3.42% | 4.14% |
1.5 | 4.14% | 4.98% |
1.6 | 4.81% | 5.76% |
1.7 | 5.45% | 6.50% |
1.8 | 6.05% | 7.19% |
1.9 | 6.63% | 7.84% |
2.0 | 7.18% | 8.46% |
2.1 | 7.70% | 9.05% |
2.2 | 8.20% | 9.61% |
2.3 | 8.69% | 10.14% |
2.4 | 9.15% | 10.66% |
2.5 | 9.60% | 11.15% |
※運用益に20.135%の税金がかかる場合。年金の積立金を対象とした特別法人税(年1.173%)は2019年12月現在、課税が停止されています。
10年間の運用では、お金を1割増やすのにも年平均1%程度の利回りが必要です。定期預金や個人向け国債だけでこれを達成するのは、現時点ではとても無理です。株式や投資信託のような、値動きがある金融商品の力を借りる必要があります。
2倍に増やすためには、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)のような非課税の制度を使っても7.18%の利回りが求められます。課税口座では8.46%の利回りが必要であり、目標を達成するのは簡単ではありません。
目標の達成が難しいとわかったら、目標金額を下げるか、投資に回すお金を増やすなど、より現実的な目標に切り替えることが求められます。
投資期間が20年の場合は? 積立投資ではどうなる?
投資期間を20年間にした場合の、倍率と年平均利回りの関係は下記の通りです。
増やしたい 倍率 |
非課税の場合 | 課税の場合(※) |
---|---|---|
1.5 | 2.05% | 2.46% |
2.0 | 3.53% | 4.14% |
2.5 | 4.69% | 5.43% |
3.0 | 5.65% | 6.47% |
3.5 | 6.46% | 7.35% |
4.0 | 7.18% | 8.11% |
4.5 | 7.81% | 8.78% |
5.0 | 8.38% | 9.38% |
※運用益に20.135%の税金がかかる場合。年金の積立金を対象とした特別法人税(年1.173%)は2019年12月現在、課税が停止されています。
運用目標を「20年間で2倍」に設定すると、税金ありの場合でも、必要な運用利回りは年4.14%。現実的な目標といえます。
また、運用期間が長くなるほど、複利効果によってお金が増えるスピードは速くなります。たとえば税金なし、年利7.18%で元本が100万円の場合、最初の10年ではちょうど100万円増えることになりますが、次の10年では倍の200万円を増やすことができます。値上がりしたからといってすぐに現金化せず、運用を続けることで、「お金がお金を生む」という好循環を享受できます。
ここまでの説明は、最初に投資元本をすべて投資する一括投資の例です。積立投資の場合は、同じ目標を達成するためには、一括投資以上に高い利回りが求められることになります。たとえば10年間で元本を2倍に増やそうとすると、税金なしの場合でも、理論上は年利13.3%という高い利回りが必要となります。
ただし、この理論値は「平均的に同じ利率で増え続ける」という仮定のもとで計算したものです。積立投資では、運用成果が期間中の値動きに大きく影響されるので、理論値は参考程度にとらえた方がいいでしょう。