(姫田 小夏:ジャーナリスト)
上海の富裕層向けの青果売り場に「日本産のりんご」が登場したのは、2004年のことだった。一時は1個300元(約4200円)という超高級りんごが登場し、消費者の度肝を抜いた。
財務省統計によれば2003年産の日本産りんごの対中輸出量は11トンだった。その後、日本産りんごの対中輸出は7年で405トン(2010年産)まで拡大する。
だが2011年、日本産りんごを大きな災難が襲う。福島第一原子力発電所事故による放射能汚染が中国で問題視され、日本産食品の販売に制限がかかったのだ。
中国政府は当初、12都県(福島、群馬、茨城、宮城、新潟、長野、埼玉、山形、山梨、千葉、栃木各県と東京都)からの食品・農産物の輸入にストップをかけた。それ以外の道府県については、「放射能物質検査証明書と産地証明書の貼付があれば、日本からの輸出は可能」とした。だが、「野菜・果物・乳・茶とそれら加工品については、日中間で『検査項目』についての合意ができていないため、2011年以降、中国に輸出できない状態が続いている」(農林水産省)。
今も売られている青森県産りんご
だが、不思議なことに、日本産りんごの対中輸出はゼロにはなっていない。財務省貿易統計によれば、2012年は100トン、2013年は280トン、2014年は672トン、2015年に至っては1622トンと輸出量は伸びている(下のグラフ)。
(財務省貿易統計の数字をもとに筆者作成)
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