右足で片足立ちを1分、次に左足で同じく1分。そのあと数回のスクワットをする。毎朝、これだけの運動をして、普段はなるべく自動車や自転車を使わずに歩くことを心がけるだけで、40代、50代になっても足の筋肉は20代の若さに保たれるという。

1日3分の心がけで20代の体を手にする

日本医科大学 太田成男教授

 日本医科大学の太田成男教授に教えてもらった健康法の1つである。なぜ、これだけのことで体を若く保つことができるのか。その理由はミトコンドリアにある。

 ミトコンドリアとは私たちの細胞の中にあって、あらゆる活動のエネルギーを作り出す小器官のこと。

 食事をして食物を体に取り込み、それを様々なエネルギーの形、組織や体を動かす運動エネルギー、神経を動かす電気エネルギー、体の中で化学変化を起こすための化学エネルギーに変えるのがミトコンドリアだ。

 つまり私たちの活動の源となっている小器官である。このミトコンドリアを健康に保ち、またその量を増やすことが、私たちがいつまでも若く健康でいられる秘訣だという。

 ミトコンドリアは大腿部の筋肉と背筋に多く含まれている。冒頭の片足立ちとスクワットは、そのミトコンドリアを鍛えるためのちょうどいい運動なのだそうだ。

世界最先端の研究、ミトコンドリアとは

 また、1分程度、背筋をぴんと伸ばす姿勢を保つこともミトコンドリアを増やし体を若く健康に保つために有効だという。

 何か狐につままれたような話で、裏に何かあるのかとか、眉唾ではないかと考える人もいるかもしれない。

 しかし、太田教授は「これはれっきとした科学に基づくものなのです。何しろミトコンドリアの研究は今や最先端の科学であり、これまでに8人の研究者がノーベル賞を受賞しているのです」と語る。

 かく言う太田教授もミトコンドリアの研究では世界的権威であり、将来のノーベル賞候補とも言われている。ミトコンドリアの研究は最近急速に進歩し、特にこの10年の成果は目覚ましい。生物を動かす仕組みがかなり科学的に解明されてきたのである。