第1次オイルショックの際には、1974年の日本の消費者物価指数が一気に23%上昇し、「狂乱物価」という言葉が生まれ、その年は、戦後初めて-1.2%というマイナス経済成長を記録しました*44。
また、2008年には原油価格が過去最高値である1バレル147ドルまで上昇し、ガソリンから食料品に至るまで、値上げラッシュが起きたことは記憶に新しいところです。
我々の生活は、海外から輸入される石油を筆頭にしたエネルギー価格に振り回されていると言っても過言ではありません。
21世紀型オイルショック
ここで1つ指摘したいのは、1970年代と2000年代後半にそれぞれ発生した原油価格の高騰は、その性質が全く異なるということです。
1970年代のオイルショックは、第4次中東戦争やイラン革命に端を発しました。つまり、中東の政情不安による地政学が招いた、いわば突発的な原油価格高騰だったのです。
40年近く経った今も、いまだ混迷から抜け出せないイラクやイランの核開発問題など、中東情勢は安定から程遠い状況にあり、いつ何時1970年代型オイルショックが発生するやもしれませんが、2000年代後半に起きた原油価格高騰の要因は、いくつかの社会構造のファンダメンタルズの変化によるものです。
それは、原油需要の構造変化と金融市場主義の台頭です。
みんなのコモディティーになった原油
近年の原油を中心としたエネルギー需要の構造変化は、主に中国とインドによってもたらされました。中国とインドは、2000年代以降、高い経済成長率を維持しており、産業化、都市化、モータリゼーションが一気に進み、エネルギー需要が急増しました(図43)。

インドの1次エネルギー消費量は、2000年の2億9500万トン(原油換算)から2009年には4億6700万トン(同)となり、日本の4億6400万トン(同)を追い抜きました。