米グーグルが、これまでSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)最大手の米フェイスブックに実施してきたユーザー情報の提供を停止したと米欧のメディアが報じている。
グーグルは、「ユーザーは自分の情報をサービス間で自由に利用できるべき」という方針に基づいて、同社サービスのデータを他社サービスに提供している。これはどういうことかと言うと、例えばグーグルの電子メールサービス「ジーメール(Gmail)」の利用者が新たにフェイスブックを利用する際、サービス開始時にジーメールのアドレス帳情報をフェイスブックの自分のサービス画面に一括して取り込める。これにより、フェイスブックで知人の情報を入力する手間が省け、利用開始後すぐにフェイスブック内で知人を見つけられるというわけだ。
その一方でフェイスブック側では、アドレス帳を他社サービスに持ち出すことを禁止している。米ウォールストリート・ジャーナルによると、グーグルの広報担当者は「“データ解放”のあるべき姿を実現するためには、サービス間の互恵関係が重要だ」と話している。
グーグルの言う「データ解放」とは?
実はこの「データ解放」というのが同社の主張ポイントだ。これは「データのポータビリティー」という言葉でも説明される。携帯電話の通信事業者を変更してもこれまで使っていた電話番号を維持できるのが「番号ポータビリティー」だが、グーグルは、ユーザーがネットサービスで作成したコンテンツに関してもこれと同じことが行われるべきだと主張。昨年9月に、ネットサービス内のデータ囲い込みからユーザーを解放する取り組み「データ・リベレイション・フロント(Data Liberation Front)」を開始し、そのウェブサイトを立ち上げた。
目的の1つは、ユーザーがサービスや製品を移行する際にデータを自由に持ち運べるようにすること。例えば、サービス提供会社が他社サービスへの乗り換えを防ぐ目的で、手数料を取ったり、画像を1点ずつしか書き出せないようにするなど面倒な仕組みをつくってはならないとしている。グーグルは(1)「ユーザーが自分のすべてのデータを自由に持ち出せること」(2)「手続きは無料であること」(3)「簡便な手段を用意すること」を3原則に掲げ、この運動を推進している。