オバマ米大統領が広島訪問を検討していることが伝えられ、原爆投下をめぐる議論が改めて国際的に浮上している。その中で、4月中旬にG7(主要7カ国)外相が広島市で採択した「広島宣言」を日本外務省が意図的に誤訳したことが、ゆがんだ影を広げ始めた。
広島宣言はもともと英文で発表された。外務省によるその日本語訳を読むと、各国外相が広島や長崎への原爆投下を「非人間的」な行為として認めたかのように読める。だが、原文はそんなことは述べていないのだ。
この誤訳はすでに一部のメディアで提起されたが、外務省側は認めようとせず、訂正していない。誤訳をそのまま公式サイトに乗せ、声明の内容として伝えているのだ。
英語の「human」は言うまでもなく「人間の」とか「人間的」という意味である。だが、日本の外務省はこの言葉を「非人間的」という正反対の意味の日本語に訳している。