中国政府が、旧日本軍の「南京大虐殺」と「従軍慰安婦」に関する資料を、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産として登録するよう申請した。これは近く韓国を訪問する習近平国家主席の、朴槿恵大統領に対する手土産らしい。
今年初めには、中国のハルビン駅に伊藤博文を暗殺した安重根の記念館が建てられたが、これも習主席の指示だという。政治体制も違い、かつては朝鮮戦争をした国が日本を仮想敵にして「共闘」するのは奇妙だが、同じアジア人同士でなぜ分かり合えないのだろうか。
中韓の国民には反日感情はない
中韓の政府がいつまでもこういう嘘を繰り返すのは、国民が歴史問題に怒っているからではない。むしろ国民に反日感情がないから、政府が焚きつけないといけないのだ。ソウルに住む黒田勝弘氏(産経新聞特別記者)は、こう書いている。
今や街には反日はない。ないどころか、若者街などではカタカナやひらがなの看板が格好いいと堂々と目につくところに出ている。[・・・]日本とのひんぱんな往来や、その結果としての口コミ、ネットをはじめとしたメディアなどでもたらされた現実の日本情報が広範に流通している。
(『韓国 反日感情の正体』、角川学芸出版)
中国では、もともと反日感情は強くない。尖閣諸島をめぐって紛争が起きたときは反日デモが起こったが、あれは反日の形を取った反政府デモだった。南京事件については、知っている人も少ない。
それでも中韓が日本を共通の敵に仕立てようとするのは、彼らが歴史的・文化的に共通点が多く、日本との距離はそれよりずっと遠いからだ。