近年、リストバンド型の活動量計とスマートフォンの連携、体組成計とカロリー管理のネットサービスなど、ヘルスケアとITを組み合わせた新サービス、新事業が目白押しとなっている。

 この流れは、日本に限定されたものではない。北米におけるベンチャー企業の「逆ゴールドラッシュ」現象(西海岸シリコンバレーから投資家、起業家が流出し、東部の大規模医療機関・大学近辺での起業が増えている)、北欧における医療、運動、食生活に関するネットサービスの隆盛など、全世界的なトレンドでもあり、今後、おそらく長期間にわたって、ITは新領域として医療分野の開拓を続けていくと考えられる。

 しかし、現時点では「ヘルスケア×IT」領域で、ビジネスモデル、端的に言えば「儲かる仕組み」が成立した例は少なく、「持続性に欠けるのでは?」と見られるサービス、事業も多い。過去の音楽、ゲーム、EC、ソーシャルサービスと比較して何かが違うのではないか? そんな声が各所で聞かれている。

医療領域に参入することの難しさ

 実は、ヘルスケアと一言で言っても、その中身は、以下の3領域があり、それぞれ、様相が異なっている。

(1)「医療領域」は、病院や診療のような医師が絶対的な裁量権を有し、公的な健康保険等が支払いを分担する。

(2)「健康管理領域」は、民間企業でも主体的な事業展開(医師等の支援は前提だが)が可能。体重管理や食生活管理がそれにあたる。

(3)「福祉関連領域」は両者の境界線上に位置する。医療ほどの制約はないが、支払いや認定には公的関与が少なからず含まれる。