3月25日、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)総会が横浜で始まった。日本初開催となる今回は、100カ国あまりの政府代表や科学者が出席、地球温暖化が社会や自然に及ぼす影響や適応策をまとめ、31日、報告書を公表する。
砂漠化が急速に進む内モンゴル
昨年9月には、対策強化を怠れば、今世紀末、最大で4.8度気温が上がるとの報告もあったが、今や、大洪水、干ばつ、熱波、山火事といったニュースは、毎日のように聞かれる耳慣れたものとなってしまった。
毎年、今頃、日本人を悩ませる黄砂も、干ばつなどで砂漠化が急速に進む内モンゴルが源の1つ。緑豊かだった地の土壌が次第に浸食され水分が失われていくこの地の砂漠化は、過放牧、過耕作といったことが大きく影響している。
そんな内モンゴル出身のニンツァイが監督・脚本・主演をこなした『白い馬の季節』(2005)は、砂漠化が進む内モンゴルの現実が見て取れる作品。
家畜は餓死し、遊牧しようにも自然保護区で遮られる。言葉の通じない漢族との争いもある。伝統的生活はもはや風前の灯で、人々は都市へと向かっているのだ。
森林の乱伐も砂漠化の原因となる。帯水層を保つ森林が消え去れば、雨が降っても深く染み込まない。温室効果ガス固定の切り札、地球の肺たる熱帯雨林は、淡水循環の重要拠点でもあるのだが、近年その破壊は著しい。
さらに河川に流れ込む有毒物ろ過システムの一翼を担う、いわば地球の腎臓とも言えるマングローブなどの湿地帯も減り続けている。
都市化も土壌の淡水保持を阻害している。地表は舗装面に覆われ、雨が降っても浸透せず、地下水は失われ、植物も育たない。ゲリラ豪雨時の都会の風景は、砂漠の鉄砲水をも連想させる。
それでも、地球は7割が海の「水の惑星」。14億キロ立方メートルもの水資源がある。しかし、淡水は2.5%にすぎず、その7割は氷河や万年雪、3割が地下水である。地表の淡水は0.3%程度にすぎず、代替物も存在しない。
開発途上国では人口が増加し、経済発展を遂げればさらに水需要は増す。その一方で、工業化、都市化が進めば、表層水の汚染も進む。どんな信条で生きていても、水が不要な者はいない。