今回の参院選で民主党が負けたことは明らかだが、自民党が勝ったとも言えない。比例区の得票率は民主党の32%に対して、自民党は24%である。

 他の党も軒並み議席を減らした中で、参院選デビューのみんなの党だけが10議席を取り、公明党を抜いて参院野党第2党になった

 みんなの党にとっては、今回の結果は大勝利というほどではない。今回の選挙の直前に党幹部は「14議席」と予想していたというから、「中勝利」という感じだろう。

渡辺元行革相、自民から離党

みんなの党の渡辺喜美代表。2009年1月に自民党を離党した際の記者会見時の写真〔AFPBB News

 しかし法案提出権を持ったことは大きく、民主党が大きく過半数を割り込んだことから、みんなの党がキャスティングボートを握って大きな影響力を示す可能性がある。

 みんなの党が躍進した理由は明らかだ。「大きな政府」を目指す民主党と、「中福祉・中負担」の自民党しか選択肢がない中で、みんなの党だけが「小さな政府」を掲げたからだ。

 実は、この言葉は昨年の総選挙のマニフェストにはなかった。

 昨年、みんなの党の勉強会に招かれた時、私が「党の基本理念が明確でない。小さな政府という思想を打ち出すべきだ」と言ったら、渡辺喜美代表が「それはいい」と言って、参院選の選挙公約のトップに掲げられた。

 そんなわけで、基本理念も、行政改革で政府支出を減らすという方向もいいのだが、具体的な政策になると、かなり怪しい。参院選の最大の争点になった財政再建については「増税の前にやることがあるだろう」の一点張りだ。

財政再建の道筋が見えない

 最大の問題は、財政再建についての政策がほとんどないことだ。