エクアドルのラファエル・コレア大統領が、15日、世界有数の生物多様性を誇るヤスニ国立公園での油井掘削を認めることを表明した。
8億バレルを超える原油が埋蔵されていると見られるその地域は、ユネスコの生物圏保護区にも指定されており、科学者たちはこれまで多くの新種を見つけてきた。
4億トンの二酸化炭素放出を避けられるはずだったが
2007年、コレア大統領は、油田開発を放棄する代わりに、国際社会から12年間で36億ドルの国際信託基金を募る、というプランを発表した。
このことで、推定4億トンもの二酸化炭素が大気中に放出されることを避けることができるという地球規模の環境保護プランでもあった。
基金は国連開発計画(UNDP)が管理、これまで民間企業やベルギー、フランス、イタリア、スペインなどから資金が拠出されてきたのだが、革命的アプローチとの評価は得ても、6年間で集まったのは1330万ドルにすぎず、目標の0.5%にも達しなかった。
そのため、「世界は我々を失望させた。国益のためにヤスニ開発を認めるよう議会に求める」ことにしたのだという。
今回の決定には、エクアドル国民の中にも落胆・反発の声はあるのだが、貧困層が多数暮らすこの国で、自然保護のため、地球全体のため、今ある金のなる木を放置する、というのは無理な話。
ウゴ・チャベス亡き後の反米左派の中心的存在にして国民の人気は高く、米国で学んだ経済学者でもあるコレア大統領だからこそ実行に移せたプランとも言えそうだが、国際社会の方はあまり乗り気ではなかったようだ。
開発を行うことになっても、ほとんどは手つかずのままだ、とコレア大統領は語っているが、ヤスニの北方、コロンビア国境近くの Lago Agrio oil field での苦い経験があるから、ことは慎重に進められていくかもしれない。
その地では、1960年代から石油掘削が始まっており、環境破壊とそれに伴う健康被害が、メディアをも騒がす法廷劇となっていたのである。