フランス版のユーチューブ(YouTube)とも言われるデイリーモーション(Dailymotion)を米ヤフーが買収するという計画が頓挫した、とフランスのル・モンド紙をはじめ複数の海外メディアが伝えている。

 その理由は同国政府の介入にあったという。外国企業、とりわけ米企業からの投資を誘致し、国内産業を刺激したいと考えるオランド大統領率いる社会党政権にとっては、フランスのイメージを損ないかねない失態だと報じられている。

大臣のひと言で協議は中断、やがて決裂へ

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フランス政府は世界的なネット企業に対する締め付けを強化している(写真はパリのエリゼ宮に掲げられたフランス国旗)〔AFPBB News

 メディアの報道によると、ヤフーはデイリーモーション株式の75%以上を取得しようと協議を進めていた。

 このデイリーモーションは、ちょうどユーチューブと同時期の2005年にサービスを開始した人気の動画共有サービス。2011年にフランスの通信事業者であるオレンジが株式の49%を取得し、今年その比率を100%に引き上げた。

 そして、このオレンジの親会社がフランステレコムで、その大株主がフランス政府となっている。そこで登場したのがアルノー・モントブール産業再生大臣だという。

 米ウォールストリート・ジャーナルによると先月12日、モントブール大臣が、ヤフーの最高執行責任者(COO)とフランステレコムの最高財務責任者(CFO)を自身のオフィスに呼び、「インターネット業界で成功しているフランス企業の4分の3以上の株式を米国の巨大ネット企業に売るわけにはいかない」と告げたという。

 同氏は、フランステレコムのCFOに対して「フランスで最も有力な新興企業を売却するようなことはさせない。自分が何をしようとしているのか分かっているのか」とも述べ、声を荒らげたという。

 ヤフーとオレンジは過去数カ月にわたって協議を続け、法的拘束力のない契約に署名するという段階にまで進んでいたが、この時の大臣との面談がきっかけとなり協議は中断したという。