「当社のタブレット端末を1台購入したら、電子書籍端末を1台差し上げます」――。米国の大手書店チェーン、バーンズ&ノーブル(B&N)の電子書籍事業会社が、こんな販売促進キャンペーンを始めたことが大きな話題になっている。

米バーンズ&ノーブル、新型端末でタブレットPC市場に参入

米大手書店チェーンのバーンズ&ノーブルの店舗〔AFPBB News

 キャンペーンの期間は3月31日までと1週間ほどしかないが、全米800以上の同社店舗や、米ウォルマート、米ターゲット、米ベストバイといった大手小売チェーンで展開するという大々的なものだ。

 同社はこれまで端末に50ドル分のギフト券を付けたり、電子書籍やアプリを無料でダウンロードできる販促日を設けたりしてきた。

 だが、今回はフラッグシップ製品である「ヌック(NOOK)」を対象にした投げ売りのような状況になっており、驚きが広がっているというわけだ。

 キャンペーンの内容は次のようなものだ。

 同社には昨年10月に発売した9インチ型高品位(HD)ディスプレイ搭載の「ヌックHD+(プラス)」というタブレット端末がある。価格はディスク容量が16GBのモデルで269ドル、32GBのモデルで299ドル。

 このうちいずれかを購入すると、6インチ電子ペーパーディスプレイの書籍端末「ヌック・シンプルタッチ(Simple Touch)」を1台プレゼントする。このシンプルタッチは一昨年の6月に発売した端末で、発売当初の価格は99ドルだったが昨年12月に79ドルに値下げしている。

目的は在庫減らし、事業撤退との噂も

 こうしたキャンペーンは在庫削減を目的としたもので、かねて言われていたハードウエア事業からの撤退が背景にあるのではないかと見られている。

 電子書籍の台頭や印刷書籍の販売低迷で経営難に陥っていた老舗書店チェーンの同社は、メディアコングロマリットの米リバティメディアや米マイクロソフトから出資を受け、電子書籍事業の子会社「ヌック・メディア」を設立した。こうして調達した資金を使って前述のタブレット端末を開発し、海外展開も加速するなどして、販売強化を図った。