東京国際フォーラムで ad:tech tokyo 2012(10月30~31日)が開催された。日本の広告市場は、現在アドテクノロジーによるイノベーションが起こり、普及している時期である。

 広告枠販売からオーディエンス取引へという流れについては、昨年の記事「ネット技術は広告会社を『無用の長物』にしたか」や著書『明日のメディア』でも紹介しているので、是非参考にしてほしい。

急増する“イメージコミュニケーション”

 アドテクノロジーとまた違った流れであるが、ソーシャルメディアによる「つながり」の発見、構築も広告業界にとって大きなテーマであろう。そして、その「つながり」=「コミュニケーション」は、テキストだけでなく画像や動画を介した領域にまで拡大している。

 例えば、LINEはLINEカメラというアプリで、画像にスタンプや手書き文字を付加できるサービスを始めている。また、米国の「Pinterest」というサービスは、ウェブ上からお気に入りの画像を集め、共有するソーシャルメディアである。

 Pinterestは、2012年1月に史上最速の9カ月で会員1000万人を超えたことで有名だ。2012年5月には1800万人を超えた。

 つまり、テキストだけでなく、さらに視覚に訴えるイメージ(画像)によるコミュニケーションが爆発的に増えている。

 確かに、我々が通常の生活で目にするのは、テキストだけでなく風景、形、色といったイメージによるものが多い。だから、テクノロジーの発達とともに、イメージによるコミュニケーションが増えるのは自然なことであろう。

インフォグラフィックのソーシャルメディア化

カーツメディアワークスの村上崇代表取締役社長(右)とフランチェスコ・ロマーノ取締役(筆者撮影)

 そういった意味で、今回 ad:tech tokyo に出展していたカーツメディアワークスが展開するinfogra.me(インフォグラミー)はとても興味深いサービスだ。月間のユニークユーザー数は1万人、訪問者数は8万件である。

 infogra.meは、インフォグラフィックを集めるソーシャルメディアである。インフォグラフィックとは、図やグラフ、イメージを利用して情報を伝える手法である。

 例えば、英国を紹介するインフォグラフィックは、イングランドやスコットランドの人口を人の形を並べて表現する。人口が多いイングランドは、人が多く並ぶことで、視覚的にその多さを直感的に読み取ることができる。数値や棒グラフで表現するよりも、より親しみやすいのだ。

 実は既にインフォグラフィックを集めたソーシャルメディアというアイデアは、米国visual.lyが240万ドルの出資を集め、2012年3月にサービスを開始している。

 その時点で月間利用者は200万人以上、現在は2万3000個以上のインフォグラフィックが集まっており、infogra.meよりも先行しているだけあって、より詳細で洗練されたものが多い。