9月25日の朝、上海滞在中の筆者のもとに、友人A氏から驚くべき内容のメールが届いた。

 「今日か明日、もしかすると日中間の航空機がすべてストップするかもしれない」

 情報源は「中国政府に近い人物」だという。筆者はあわてて数人の“事情通”に確認してみたが、「それはデマだろう」と一笑に付された。もちろん、杞憂であればそれに越したことはない。

 確かに25、26日と飛行機がすべてストップすることはなかった。だが27日、メールの予言が的中したかのような “空の怪事件”が起こった。

日中国交正常化40周年レセプションの代わりに開かれた招宴

 9月24日、日本ではこんなニュースが流れた。

 日中経済協会(会長はトヨタ自動車会長の張富士夫氏)が9月25~28日に予定していた訪中団が派遣中止に追い込まれた。毎日新聞によれば、中国側から「『国家指導者と面会日程が取れない』と連絡が入ったため」という。

 1972年、日中国交が正常化。3年後の75年から、同協会は毎年、経済界のトップを北京に派遣してきた。その歴史を考えると、これはまさに前代未聞の事態だ。しかも、日中国交正常化40周年という記念すべき年に、である。

 併せて、当初予定されていた中国人民対外友好協会と中日友好協会の主催による日中国交正常化40周年記念レセプションも「延期」となった。

 日本の尖閣諸島国有化に対する中国側の反発であることも、「延期」が事実上の中止であることも、疑う余地はない。

 そこで、それに代わって小規模な招宴が行われることになった。

 中止となった式典に招待していた河野洋平前衆院議長、加藤紘一自民党元幹事長、高村正彦元外相、野田毅元自治相、江田五月元参院議長、張富士夫トヨタ自動車会長ら日中友好団体の会長のほか、中国側が「親中派」と見なした鳩山由紀夫元首相、田中真紀子元外相(現文科相)、二階俊博元経済産業相、米倉弘昌経団連会長などの限定メンバー15名を招請するというものだ。

 中国共産党序列4位で、中国人民政治協商会議(政協)主席の賈慶林氏が、9月27日午後の会談に臨んだ。