経済学者の中谷巌氏(スカパーJSATホールディングス社外取締役)
元警察庁長官の國松孝次氏(日本郵船社外監査役)
「平成の鬼平」と言われた元日弁連会長の中坊公平氏(野崎印刷紙業社外監査役)
ジャーナリスト出身で日銀副総裁を務めた藤原作弥氏(東北電力社外監査役)
元東証社長の鶴島琢夫氏(曙ブレーキ工業社外取締役)
3月31日までに東証に提出された各上場企業の「独立役員」リストには、経営陣のお目付役にふさわしい錚々たる経歴を持つ有力者の名前が並んだ。
「独立役員」とは、会社と利害関係の無い中立の立場で経営に参画する社外取締役や社外監査役を指す。
東証は2009年12月30日に上場規則を改正、少数の株式しか保有しない一般株主を保護するため、1人以上の「独立役員」を置くよう求めた。具体的には、親会社や兄弟会社の役員あるいはその経験者、メーンバンクなどの主要取引先の役員や議決権10%以上の主要株主などは原則としてなれない。企業統治に熱心な会社だとアピールしたいこともあって、大手企業は名前の知れた有識者を独立役員に選ぶ。
3月期決算企業については2010年6月の定時株主総会の翌日からの導入を義務付け。1年間の経過期間終了後、導入していない企業には社名公表などの措置を取る予定だ。
これに先立ち、東証は2009年3月31日までに各上場企業に独立役員の導入状況の報告を求めた。それによると、届け出た2094社のうち、1907社(91.1%)が既に導入済みと報告。未導入は187社(8.9%)にとどまった。最多はソニーの12人だが、平均では1.7人。独立役員は1人だけという会社が全体の約半分を占めている。
経営者保護主義の日本型企業統治
独立役員導入の背景には、グループ内や取引先同士で社外取締役や社外監査役を派遣し合うことが慣行化している日本の現状に対する批判がある。
欧米の機関投資家は、「日本企業の経営陣は一般株主の利益を軽視し、株式持ち合いや買収防衛策など自己保身に走っている」として、是正を要求。日米規制改革対話でも、米年金基金などから要望を受けた米政府が、日本企業の役員の独立性を高めるよう求めたこともある。