「清武やるなぁ」
「でも岡崎かわいそうだよね」
電車の中でこんな会話を耳にしたのは11月11日、金曜日の昼間のこと。
サッカー日本代表のタジキスタン戦はその日の夕方キックオフである。
「ほんと、ナベツネはひどいよね」
なんだ、読売ジャイアンツの話か。
まさかの「お家騒動」
その日の午後、読売ジャイアンツの清武英利代表が文部科学省記者クラブで会見を開いた。事前に会見の内容について、「巨人軍のコンプライアンス上の重大な件で、プロ野球界のルールにかかわること」とマスコミに情報を流していた。それがすでにネットで記事になっていたから世間の関心も高まっていた。
「また裏金か」
「菅野絡みで日ハムを刺すのか」
「何だか知らないけど今度こそナベツネさんも終わりか」
様々な憶測が飛び交う中、会見に臨んだ清武代表の口から飛び出したのは誰も想像だにしなかった「内部告発」だった。
会見の趣旨をまとめるとこういうことになる。
読売ジャイアンツの来季のコーチ人事について、岡崎郁氏をヘッドコーチにする旨、同社会長である渡邊恒雄氏に説明し、了解を得ていた。岡崎氏とは11月11日に来季の契約を交わす段取りになっていた。
にもかかわらず渡邊氏はその後11月4日、報道陣に対して自分はそんな話は聞いていないと話した。