東京モーターショーが閉幕した。
入場者総数は61万人余り。前回、2年前、142万人を超えたのと比較すると、その57%減と、つまり半減である。ちなみにそのまた2年前、2005年は151万人を超えていた。
会期を4日間短縮したこともあるが、欧米のメーカーがほとんど参加せず、トラック、バスも出展を回避して、会場にも空きスペースが目につく状況。
数字で見ると、出展者の数は246から126へ。展示車両の総数は542台が261台へ。展示スペースは4万4587平方メートルから2万2594平方メートルへ。全てが半減していたわけで、その意味では展示内容に応じた人の数、という見方もできなくはない。
逆に、この経済環境、社会的な雰囲気、それ以上に出展内容の薄さからすれば、皆さん、よく見に行ってくださいましたね、というのが私の実感である。
足を運んでみてどうだったか。楽しめたか、次に買ってみたいクルマや、明日のクルマ生活のイメージは何となくできたか・・・となれば、それは希薄だったと思うのだけれど。
こちらも愕然とするほど数を減らしたとはいえ、ステージに立つキャンペーンギャル、あるいはナレーターコンパニオンを追いかけている「カメラ小僧」(実態は、小僧ではなくオヤジに近い輩が増えているが)の方々にとっては、場所とイベントがどこであっても関係ないので、楽しかっただろうとは思う。
ちなみに、ある仕事で顔見知りになったレースクイーン(同様の仕事なのだが、色々な呼び方があるものだ)が、某メーカーのオーディションに受かり、15日間、交替で展示車の脇に立ってナレーションし、ニッコリ微笑むお仕事を繰り返したとのこと。
そのためにまず、クルマの基礎用語やらテクニカルタームやらを詰め込まれ、ナレーション原稿を暗記する1週間の事前トレーニングを受けたという。これはまぁいつものことで、電機や情報機器、ゲームなどの展示会でも同じパターン。彼女たちは内容を理解することもなく、ただ誰かが書いた原稿を録音再生機のごとく繰り返すわけだ。
現実的な「未来のシナリオ」がある欧州の自動車ショー
これが欧州の自動車ショーの場合は、基本的なテーマがはっきりしている(最近ちょっと現地に足を運んでいないので、何年か前までは、と断った方がよいかもしれないが)。
何よりユーザー自身が「次に買うクルマをどうしようか」を、実物を前に、触れながら、家族も一緒に検討する光景が当たり前。以前は、展示車の横に分厚い資料を持った担当者(これは妙齢の女性であることが多い)が立っていた。そのモデルにどんなバリエーションがあるか、仕様や装備の選択肢はどうなっているか、それらを組み合わせた時の価格はどうなるか、といった質問には、その資料で解説してくれるのである。そして、展示ブースの一角には販売担当者ともう少し具体的な検討をしたい人のための小間も並んでいる。