「脱官僚依存」を掲げて颯爽とスタートダッシュを切ったかに見えた鳩山政権だが、早くも失速しそうな状況に陥っている。官僚の天下り人事に世論は厳しい目を向け、内閣支持率が急落。沖縄県の米軍普天間飛行場の移設問題では結論を出せず、首相・鳩山由紀夫の指導力は未だ見えない。経済政策では具体的な成長戦略をなかなか打ち出せない上、自らの「偽装献金」疑惑も深まり、「鳩山政権は来夏の参院選まで持つのか」との声も聞こえる。一方、「闇将軍」となった民主党幹事長の小沢一郎は党内で独裁色を強め、国会改革などで「壊し屋」の本領を発揮し始めた。(敬称略)
日本郵政社長に元大蔵事務次官・斎藤次郎を起用し、鳩山政権に対する「期待」が「失望」に変わり始めたと前回は書いた。筆者も失望した1人であり、政権発足後の「蜜月期間」であろうがなかろうが、「おかしいものはおかしい」と言わざるを得ない。
もっとも、筆者は鳩山政権への期待が失望に100%転換したわけではない。むしろ、これまでの自民党政治よりも、期待したい部分が多い。多くの国民もそうではないのか。政権交代によって、これまでの閉塞感を打破する政治・経済の明るい展望と改革の成果を見いだしたいのだ。
ところが、未だ先行きは何も見えない。
「政権発足からまだ50日余り。多少の混乱には目をつぶり、長い目で見てほしい」と政権サイドに立つ人は言うだろうが、政府・与党内の迷走と連携不足、ばらばらの発言、期待と信頼を裏切るような事例が相次いでいる。