30日のロンドン市場は、ユーロが上昇後、次第に売られる展開になっている。序盤はトリシェECB総裁の欧州議会での証言が材料だった。そのなかで総裁はインフレに強い警戒を示したことで市場は改めて7月の利上げ観測を強めている。ユーロドルは一時1.4522レベルと3週間ぶり高値水準をつけた。しかし、序盤堅調だった欧州株が次第に上げ幅を失う動きにユーロドルも徐々に売りが優勢となり1.4450近辺へと反落している。ユーロ円も116.60レベルから116.20台へと下押しされている。ポンドが急落したことでユーロポンドは買われたが、取引中盤にかけては上げを消す動きとなっている。この日もギリシャ議会が緊縮財政の関連法案の採決が予定されていることから、ポジション調整を促した面もあったようだ。ドル円は80.30-40レベルと東京午後の揉み合い水準での取引が続いた。
◆ポンド急落、ユーロポンド1年3ヶ月ぶり高値水準に
ロンドン市場前半の取引はポンド売りが目立った。ポンドドルは1.61近辺での揉み合いを下放れると一気に1.5975レベルまで急落。ポンド円も129円台前半から128円台前半まで下落した。英系大手銀行の売りが目立った模様。ユーロポンドは0.90近辺から一時0.9070レベルへと上昇して、1年3ヶ月ぶりの高値水準に達した。その後はやや値を戻したが、ポンド急落前の水準は回復できていない。ポンド売りに関しては明確な材料が見出せないが、英中銀が7-9月期に住宅ローンのデフォルトが増加する見通しと発表したことや、東京朝方発表されたネーションワイド住宅価格の低下など英景気回復の遅れを示す動きが嫌気された面がありそうだ。また、月末関連のポンド売りフローを指摘する声もあった。英国は年金問題を巡って教職員など公共部門のストライキやデモが実施されているとの報道もあり、ギリシャ問題がある程度落ち着いたことから、市場の目が英経済に移動する可能性もうかがわせている。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)