14日の東京市場は、中国経済指標を巡って振幅する展開だった。市場の注目を浴びたのが5月の中国消費者物価指数の結果。市場では中国のインフレ上昇が一段の金融引き締めにつながるとの見方が広がっている。この場合、景気減速を招きかねないとの不安感から市場はリスク回避的な動きをみせた。事前のエコノミスト予想は前年比5.5%上昇だったが、一部には6%台とのウワサまで広がった模様。ドル買い・円買いとなってユーロ円は115円台後半から前半へ、豪ドル円は85円台前半から84円台後半へと押し下げられた。ユーロドルは一時1.4380レベル、豪ドル/ドルは1.0570レベルまで下押し。
日本時間11時発表の結果は事前予想通り5.5%となった。市場のムードは過剰な不安感から安堵感へと変化、ドル売り・円売りへと転じている。ユーロ円は115円台後半、豪ドル円は85円台前半へと反発しており、朝方の水準を回復している。ユーロドルは1.44台を回復、豪ドル/ドルは1.06台半ばまで反発。この振幅のあいだ、ドル円は80円台前半でのこう着相場が続いた。発表に先立って人民銀高官は、穏健な金融政策を継続する、とも述べており上海株は1%超の上昇と堅調に推移している。午後に新華社が伝えた、中国人民銀行は短期的に利上げしない公算、との報道も好感されていた。
◆日銀が景気判断を引き上げ、追加策も好感
昼過ぎに日銀は政策金利を全員一致で据え置いた。追加策として動産担保融資で5000億円貸し出しを新たに打ち出した。また、日本経済に、持ち直しの動きもみられている、として景気判断が引き上げられている。日経平均は後場の取引で100円超の上昇となり、9565.65円まで高値を伸ばしている。話題の東京電力株は、ストップ高となった。午後の取引で、ユーロ円は一時116.01レベル、ユーロドルは1.4441レベルへとそれぞれ今日の高値を更新した。日銀の発表で中国経済指標発表後のリスク選好ムードが一段と強まった形。ドル円も80.35近辺へと水準を上げたが、引き続き80円台前半での推移に留まっている。全般には午後にかけてもリスク選好ムードが広がっている。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)