消えゆく「シビック」の偉業を改めて語ろう 日本車の常識を覆した合理性と先進性 2010.12.10(金) 両角 岳彦 フォロー フォロー中 Tweet この写真の記事へ戻る 初代「シビック」2ドア。最初は「ミニ」と同様にリアハッチなしだった。4輪車メーカーとしてのホンダの重要な転換点を生み出した傑作車である。(写真提供:ホンダ、以下同) 初代「シビック」2ドア(内側の赤線描写)と、CVCCエンジンを搭載しての米国輸出を考え、後席空間と車体の前後を少し伸ばした4ドアの側面パッケージングレイアウト図面。4人の大人を自然な姿勢で座らせ、それをきっちりと包み込むキャビンと、できるだけ凝縮した走行機能要素を組み合わせて構築する。その論理性がダイレクトに伝わってくる画である。今日では主に衝突対策要件から、この居住空間をこれだけタイトな車体にまとめることは困難。 拡大画像表示 CVCCエンジンの構造と作動の概念図。太い主吸気通路から主燃焼室へは希薄な(燃料混合量の少ない)混合気を送り、それとは別に小さな副燃焼室に燃えやすい濃いめの混合気を細い通路から供給。その副燃焼室に点火プラグで火をつけ、細い孔から噴き出す火炎が主燃焼室の希薄な混合気に燃焼を広げてゆく。当時はまだ三元触媒の性能、耐久性が未知数であり、それを使わずに排気規制値をクリアできたことは大きかった。ただし、燃焼エネルギーのロスが大きいことなど、今日では副燃焼室方式のメリットはもはやないと考えられている。